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些細な嘘

夜。ゲーセン帰りの高校生カップルが、手提げ鞄を片手に楽しそうに歩いている。


「新次郎、UFOキャッチャー下手だね。何回両替機に札入れたんだったっけ?」


「忘れたよそんなの!ほっとけ!それより亜留絵、これからお前の家に行っていい?」

突然の新次郎の発言に、亜留絵は驚いた表情を見せた。


「え?だめ!私たち付き合ってること、親には知らせてないの!新次郎の家じゃだめ?」


「え?俺の家?」


新次郎も驚いた表情。まずいことを言われたのか、新次郎は目を大きく開いた。


「え、あ~、俺の家、こっからだと遠いし、やめた方がいいや。お前が帰るとき大変だろ」


「私はかまわないよ。新次郎の家、見たことないし。ていうか、行ってみたい!」


新次郎は、頭の中で必死に断る理由を探していた。自分の家に亜留絵を入れたく無かったからだ。


「でも俺の部屋、散らかってるし…」


「じゃあ、これを機に二人で片付けようよ。一人で片付けてたら、そのうち卒アルとか古い漫画本みつけて読み出して終わっちゃうよ!二人の方がはかどるよ!行こ行こ!」


亜留絵は新次郎の家に付いていく気満々だ。目をキラキラ輝かせてる亜留絵だが、新次郎は予想外の事態に内心焦っている。


「わ、悪い…実はなんか、さっきから気分が悪いんだ…今日はやっぱ、やめとこうぜ…」


新次郎は、咄嗟に嘘をついた。すると亜留絵の表情は、だんだんと険しくなっていった。


「え?なに?じゃあ今までずっと、楽しくもないのに無理して楽しいフリしてたってこと?」


家に彼女を連れていくまいと、咄嗟に口にした些細な嘘が、亜留絵の気分を害した。


「だったら始めからそう言ってよ!じゃあ帰るね」


さっきまでの楽しいムードが、いっきに険悪になった。


「ちきしょう…」


カメムシは触れられるとニオイを出す。人に嫌われるニオイを。


遠山 新次郎。彼にも、触れられると嫌われるようなニオイがあった。とくに、恋人の辻 亜留絵に知られたくない、強烈な嫌なニオイが…。

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