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紅井シズカ

今から九年前、姉湖学園に紅井シズカという、ひとりの内気な女子生徒がいた。彼女はクラスで陰湿ないじめをうけていた。机の中にカメムシを大量に入れられたり、鞄の中にカメムシを大量にいれられたり、靴の中にもカメムシを大量に入れられるといった、とてもえげつない仕打ちだ。常にカメムシのニオイが漂う彼女は、クラスで『カメムシズカ』と呼ばれるようになった。来る日も来る日も煙たがれ、彼女に近寄る者はいなかった。


そんなある日、彼女は突然姿を消した。教室の机の中にカメムシが大量に発見され、彼女がいじめにあっていたことが判明した。学園の教師が懸命に探したが見つからず、警察に捜索依頼を出すことになった。


彼女が見つかったのは一週間後。見つかったのは姉湖学園の裏に広がる樹海の森の中。森の中にある傾斜地を下ったところに大きな石があり、そこに頭を打ったのだろう。血まみれの彼女の遺体は、全身が紅い無数のカメムシで覆われていた。まるで死者に手向けられる花のように…。


それから数日後、奇妙なことが起こった。シズカがいたクラスのある生徒の机に、紅く染められたカメムシが大量に入っていたのだ。その生徒は数日後、学園裏の樹海の森で発見された。紅井シズカと同じ場所で、同じように…。


その後もシズカのクラスで、生徒が次々と、同じように樹海の森で死んでいった。死んでいったのは、いじめられている彼女を、ただ傍観していた生徒達だった。


いつしか、紅井シズカが死んだその樹海の森は、『カメムシの森』と呼ばれるようになり、姉湖学園は『カメムシ学園』と呼ばれるようになった…。

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