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ササイな自宅訪問

「どこへ行くんだ?二人で放課後デートか?」


「そんなんじゃないわよ!だいたい、あたしらがどこ行こうが勝手でしょ?臨時担任のアンタに関係無いわよ!行こう、亀梨」


真奈美は僕の腕をぐいっと引っ張り、笹井に背を向けで早歩きで歩きだした。


「あー、悪いワルイ。昔から、些細なことが気になるタチなもんでね。そうだな。確かに、本来の担任ではないワタシには関係無いな。お前らがこれからどうしようと…どうなろうともな」


「アンタ、何が言いたいの?」


笹井は、まるで僕らがやましい事を隠しているのを知っている口振りだ。


「いやな、実はこれから、今日来てなかった保科って生徒の家に行こうと思ってるんだが、ワタシひとりじゃどうも心細くてね。一緒に来てくれると有り難いんだが、どうだ?」


「はあ?なんで私達が?彩香に頼めばいいじゃないの!学級委員なんだから」


「そう思ったんだが、既に帰っちゃったみたいでね。で、お前たちを見つけたわけだ。もし一緒に来てくれるのなら、ラーメン奢ってやろう。どうだ?亀梨シズカくん?」


真奈美と言い合ってた笹井が、今度は僕にも話をふってきた。しかも、またわざと名前を間違えて。


「シズカじゃなくてジョウです」


「なんだよ、ならさっき呼ばれたときに言えよ。あとになってから指摘するなよ。なんでも後回しかお前は!」


知ってるくせに…。そういえば、少し腹が減ってきた。しかし、森の中にある千里の兄の死体も気になる。それに、それを一緒に見に行く条件で僕は真奈美に疑われなくなる。


すると側の真奈美の腹から、クウウと音が聞こえてきた。


「仕方ないわね。行ってやろうじゃないの。そのかわり、ちゃんと奢ってくれるんでしょうね?ラーメン」


「意外と素直だな結城真奈美。約束は守る。じゃあ行くか、お二人さん」



今日、クラスで学園に来ていなかったのは保科真里ただひとり。笹井はマサトの家に何度か電話したが、いずれも留守電だったらしい。挨拶がてら、家に行って、直接マサトに会って話がしたいそうだ。僕と真奈美は笹井の車に乗り、笹井と三人でマサトの家へむかった。


「久佐城先生の話では、保科はしょっちゅう熱を出したり腹痛が理由で休んでたらしいが、そんな病弱なのか?」


「アイツ、大げさなのよ。仮病かと思うくらい、いつも些細な理由で体調悪くなるの。教室の窓から見える電線に、カラスが五、六匹いるのを見ただけで保健室行ったり、雷が鳴って大雨降ったときも保健室行ったわね。あと、こないだ、音楽室で沢口がふざけてピアノをギャーンと鳴らしたときは猛ダッシュで保健室行ったわね」


「保健室ばかりじゃないか…好きなのか保健室」


確かにマサトは、メンタル面では異常なほど脆い。クラスでイタコ女の志摩レイカが怖い話を始めた途端に保健室に行っていた。しかし、真奈美の机から紅いカメムシが見つかったとき、マサトも教室でそれを見ていたはずだが、その時は保健室に行く様子は無かった。


「ここが保科の家か」


マサトの家に着くと、僕らは車から降りて、玄関までむかった。マサトの家は二階建てだった。笹井は玄関の呼び鈴を押した。すると、その時だ。


「うああああああ!!」


家の中から突然、悲鳴が聞こえた。マサトの声だ。

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