11.間章 光に満ちた地獄
「人を憎んでは駄目よ」
それが、俺の母さんの、口癖だった。
「私の家族はね、吸血鬼に殺された」
「あなたは、【吸血鬼殺し】になるの」
「いい?人を憎んでは駄目。吸血鬼を憎むのよ」
そう言う母さんの目は、いつもどこか苦しげだった。
57番…
ほら、今アイツと___たたかってるヤツだ。
そいつはこう言ってた。
「僕の母さんが、言うんだ」
「『人々の役にたって、尚且つ憎いあいつらに仇成すことが出来る』」
「『素晴らしいことでしょう』、って」
「…僕には何が『素晴らしい』のかさっぱりだ」
____寂しげに微笑んで…ああ、そう。
よく、首を傾げてたっけ。
「『素晴らしい』なら、役に立つなら。じゃあなんで」
「……僕のこと、見てくれないんだよ」
俺は、何も言えなかった。
分かっていたから。
口先でどんなに俺達の存在を肯定していても、所詮、俺たちはバケモノの子で。
母さんは、人の為に…
いや、教義の為、かもな。
自分の身を犠牲にして、バケモノの子を宿した。
半吸血鬼の母は、罪人なんじゃないかって?
……だからな、それは一般的な解釈。
自分の身を守る為に、身体を差し出した、なんて。
そんなのは大昔の、吸血鬼がもっとわんさかいた頃の話だ。
…正直、それだってウソかホントか分かったもんじゃねぇけどな
とにかく、今じゃ半吸血鬼なんて自然にゃ滅多に産まれないんだよ。
知らなかったか?
…まあそりゃそーだよな。
だから……母さんも、被害者だ。
……何の、ってそりゃぁ…
教会のせいでもあるし…。
知ろうとしない人間のせいでも、あんだろうな。
…………。
…半吸血鬼は自然にゃ滅多に産まれない、つったな?
俺たちは教会で産まれて、そこで1人前の吸血鬼殺しになるまで育つ。
…けどな。
中には『外』で産まれて教会に連れてこられるヤツもいるんだよ。
もちろん例外中の例外さ。
そんな奴ぁ最近じゃ100年に1人いるかいないかだ。
けどな、その、例外中の例外。それが____




