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1.プロローグ 紅い瞳
吸血鬼の死体が、崩れ落ちる。
「大丈夫?」
_____そう言って、彼は困ったように笑った。
闇夜に光る紅い瞳と、風にたなびく白い髪。
胸元を、真っ赤に汚してほほえむその姿は、あまりに凄惨で。
ざあとふいた強い風が、木々をゆらし、私と彼の間を通り抜ける。
彼は私の方に小さく1歩踏み出した。
血にぬれた細身の顔が、月明かりに照らされる。
恐ろしさに身がすくみ、真っ白になった頭の中がぼやける。
耳につき刺さる、高い音が、自分の叫び声だと気がついた。
紅い瞳が、ゆらりと揺らぐ。
人には見えない彼の顔。
そこに浮かんだ、あの表情は……______




