3初心なヤツ
「ん?何?これなにが起きてるの?」
途轍もなく集中し緊張状態を維持していた為か大分切り替えに時間ががかかる。
「ほんとにすみません…すみませんごめんなさい」
ペコペコと小柄な少し紫かがった髪の女の子が頭を下げてるり
「うん?つまりなんだ?誤射して私にかすめたと?」
状況整理できないためそう聞いてみる。
「は…はい…ごめんなさい…あそこに居るゴブリンを狙ったら…」
「はー…なるほど…」
初心者である。
どころかこのタイプは今まであまりゲームと言うものには触れてこなかったタイプの一番素人のタイプである。
「なんだい?君もチュートリアル中か?」
ここで助け合うのがプレーヤー同士関わるゲームの基本中の基本でしょう。
「あ…はい…初心者で…」
畏まりながらそんな事を言うその少女の手に持つ物に違和感を覚える。
「てかその銃ぽいのは買ったの?」
「は、はい?…まあそうです!」
「へーでいくらだった?」
「2900 spですね」
「初期にもらえるspは幾つ?」
「3000です」
「じゃその銃に使う弾は?いくら」
「マガジン2個セットで200ですね」
そんな会話をする。
〈……〉
「……」
私もコメント欄も黙ってしまった。
完全絶句である。
「あ!!そうだこれマガジン撃ち尽くしたらもう無理じゃん!!!!?!!」
今更気づいたらしい…
少しアホのこと言うのが分かった。
「ど…どうしましょう、怪我させておいて身勝手でふがた、助けてくれませんか?」
なんて涙目ですがりついてくる。
それを見てだいぶニヤけてしまう。
私はこういう状況で可愛い子が困ってるのが好きだ…世間的に言うサディスティックってやつなんだろうと思うが…
「いいよー助けてやろう…そのかわり貸10くらいつくるよ…ふふふ…」
〈性格悪いな〜w〉
そんなノリから突然であった少女を助けることになった。
数分経った。
チュートリアル用の最初の狩場に出向いたのである。
「えっと…そう言えばお名前」
「そうだったね、私は…リゼよろしく」
こういうゲームの世界では通説、本名での登録は避けるべきだ。
私も適当にリゼと言う名前で登録している。
「へーよろしくです、私はユウナです」
そんなふうに挨拶してくる。
「所でユウナちゃん、今は更ではあるが私はいま配信を回してる、ユウナちゃんはそういうの映って大丈夫?いやならもう消すけど…」
「あ、全然大丈夫です!」
案外許可してくれるようだ。
もし私は逆の立場なら出来るだけ嫌な雰囲気を醸し出してただろうにこの子は随分優しいらしい。
そんな会話をしつつ歩いていると、草むらからわらわらと音がし始める。
【ゴブリン Level1 にエンカウントしました】
そんなテキストが目の前に表示された。
〈来たね、素手で行けそう?〉
「ま、ちょい微妙、どんぐらい強かによる」
コメントにそんなふうに返しながら先ほどのように構えを取る。
先に攻めたのはゴブリン。
そこそこ速い踏み込みで距離を詰め、飛び上がり持ってる棍棒を乱雑に大きく横振りする。
それをギリギリの所で後ろに避ける。
「あ、これはいけるわ、思ったりより単調だし反応できない速度じゃない」
そんな言葉を発する。
その発言に後ろで見ているユウナは"おー"っと言いながら感心している。
再びゴブリンが距離を詰め直して、再び飛び上がる。
このゴブリンの弱点にすでに気づいた。
それは二度とも飛び上がり攻撃できたこと。
このゴブリンは身長100前後程度、普通なら足なんかを素早く動きながら攻撃すればいいものを、わざわざ空中に出るのは多分そういうプログラム無のだろう。
"ゴブリンは飛び上がりそのまま頭を狙う、そして横振りをする"
こういうプログラムか働いてる限り素手でも勝機はある。
しっかりゴブリンが横振してきたのを確認してから素早くしゃがむ。
ゴブリンの体制的に頭を狙い身体が浮いてるので簡単に避けることができる、
それでいてがら空きの腹に一発拳を入れる。
大分鈍い音が響いた。
ゴブリンの腹からはダメージエフェクトが出ている。
(大分よろけてるな…多分ダメージを食らうと動きが鈍くなるんだろ)
そう考えていると、ゴブリンは再度攻撃を試みようとヨロヨロの足で接近してくる。
それを難なく躱し、前例どうり飛んで攻撃してきたゴブリンの腕を掴みそのまま地面に叩きつける。
バン!っと言う大きな音と共にゴブリンからはダメージエフェクトが大量に出て…数秒でその身体は粒子となって消えた。
(初戦闘…まあまあ良いかな)
そんな事を考えながら、私の初戦闘は完勝となった。