2ハロー世界私は今
「とりま起動できたな」
取り敢えず周りを見渡す。
廃墟都市の名に違わず、世紀末漂う感じだ。
(マジですげーな起動しただけで分かるなーこの風が吹く飛びに体に触れる感じ…良い大分良い)
〈チュートリアルを開始します〉
鑑賞に浸ってるとそんなテキストが表示される。
突然現れたのでほんの少しびっくりしながらも少し思考を巡らせる。
(チュートリアルの前にだ…私にはやりたい事がある)
色々やって、別タブを起動後、もう一つある物を起動する。
見た目は…円盤のようなドローン?的な何かである。
「あ、あ、声入ってるかな?入っててくれ〜畳はごめんだぞー」
喋って見ると、自分の声が二重で聞こえた、これで一旦動画のほうの音量を無くす。
そう、ここまで言えばわかる人も良いだろうが、いま現在私は、動画配信なるものを始めようと思う。
まあほぼ成り行きであるただ単に昔から面白そうと思ってたが機会が無かった、だがいま私にはコンテンツがある、最新ゲーム機しかも大分知名度の高い会社が出した期待の新作。
それでもってサービス初日となれば途轍もなくチャンスなのだ。
新参者でも新参コンテンツなら立場を築けるかもしれん。
そんな甘い考えで私は今配信を始めた。
「お、早速同接2ついた、凄いねー流石期待の新作。さっきチャンネル作ったばっかしなのに私の時代来たか?」
なんて冗談交えながら会話をする。
まだまだ人は多くないが全然上々である。
「よし、まず説明〜このRuined City Onlineま、以下RCOな!RCOは基本的に銃と魔法の世界、荒廃した未来の世界がモチーフで普通に空飛ぶクルマとかあったりする、が砂漠っぽかったり第三次産業が廃れてたりとThe世紀末風都市って感じだなーちな大都市はまじで未来都市感すげーらしいから1回見てみたいな」
なんて雑談しながら、ぶらぶら歩いていく。
「で、ゲーム性としてはfps系ってより銃とスキルとか魔法とかでPVPするMMOって感じが強そう。ま、詳しいとこはPV見て考察系のサイト見ような!」
【なるほど…分かったが、今何をしてるの?】
早速コメントがついた。
見ている人が1人2人単位だと見てる人がコメントしない勢だった場合シーンとした配信になるのでこのコメントは嬉しい誤算だろう。
「コメントありがとう〜今はキャメイク終わって適当にブラブラしてるとこ」
こうやって会話できるのも配信の醍醐味であろう。
会話したいが故人が多い大手より弱小個人を見るのが好きって人も少なからず居るらしい。かく言う私も案外その1人だったりする。
〈チュートリアル受注完了しました。チュートリアル1武器ショップに行く〉
「なんか出てきたな…うーん…一旦街並み確かめてから進めたいんだよなー配信の醍醐味はテンポ感よりゆったり普段は見ないところを皆で見ようって感じだと思うし」
取り敢えずチュートリアルは置いておき街をゆっくり見ることにする。
歩きを進めて数秒凄いことに気づいた。
「すげーな街並みがところどころ違う。どうやってサーバー維持してんのかな…このレベルよくわからん」
感嘆の声が漏れ出る。
流石の最新技術とか言いようがない。
「そっか~そうなんかー大部楽しそうだなー」
そうやって適当にぶらぶらしていると1つだけ矢印が表示された店がある。
〈武器ショップに着いたぽいね〉
なんてコメントが浮かび上がってくる。
「みたいだね…でもさ見てる人に聞きたいんだけどさこれさいったんさ素手で敵に殴りこみに行きたくね?」
〈出来るならやってみてよw〉
そんな悪ノリからその矢印を無視してマップを見ながら街を出るため右往左往する。
暫く会話しながら歩いていると街の外に出ることができた。
「さてと…森エリアっぽいけどどうかな〜」
そんな発言をした瞬間の出来事だった耳を劈く途轍もない轟音。
ほぼ同時、スパッと何かが私の頬をかすめた。
「んな…」
声にならない声が発せられていた…
反応はできた…何が出てこいようと素手でもある程度はいけると言う自信…
(早速敵にエンカウントしたか?ま、配信的には調子乗って無防備で出て即死は美味いが…)
そんな事を考えコメントを見てみる。
〈よく避けた!普通にスゲー、てか敵かな?素手でいけるか?〉
「行けなくてもなんも持ってないから素手でいくよ」
そんな事をしながら構えを取る。
案外こういう場でリアルの格闘技術も関わってくるの凄いと思う。
場に静寂が訪れ皆が警戒状態になった瞬間だった、高めな可愛らしい声が響いた。
「す、すみません!誤射しました!!」
森の隅から出てきたのは可憐なアバターの女の子であった。