彼女は深夜アニメもリアタイで
修学旅行に行くまでの間、井上の読書のスピードが上がったのを感じた。
昨日貸した所なのに、翌朝には返してくるのだ。
「ありがとう」
「いや、面白かったか?」
「うん。続きはまた明日でいいから」
井上は言う。
だが俺は、次巻を鞄から取り出した。
「えっ!?」
井上は驚く。
「いやほら、昨日の帰る頃にはもう半分以上読み終えてただろ?」
うわ、自分で言ってて気持ち悪く感じた。
ずっと見ていたかのような発言をしてしまい、俺は後悔する。
「え!!嘘!!バレてた!?面白くて、つい」
井上は少し恥ずかしそうに答える。
その反応に、先程の後悔は霧散した。
「そんなに面白かったんだな」
俺は思わず笑う。
「勿論。維新さんの作品って、何でも面白いよね!」
井上はニカっと笑う。
「そっちこそ、たわ言シリーズはどう?」
「面白い」
俺は即答する。
「でしょーーーっ!!!超好きなキャラがいるんだけど、出てきた所まで読めたら、いっぱい話聞いてよ」
「いいけど、その俺のストーリーシリーズの感想聞かせてくれ」
「主人公好き!!まあ、吸血鬼ちゃんも好きだけど。ってか、登場人物の名前、独特すぎる。本当にこの先生の作風、面白いよね」
とっても楽しそうに語る井上。
それを聞いて、貸して良かったと俺は嬉しくなったのは言うまでもない。
♢
修学旅行の班も決まり、2泊3日の当日の動きも確認し、あっという間に旅行当日を迎えた。
「次で降りるらしいぞ」
俺達の高校が占有している新幹線の車内が騒がしくなる。
班ごとに座っているので、俺は井上の隣だった。
学校では隣と言っても人が通れるスペースは空いているので、この新幹線の席は流石に緊張していた。
「井上、もうすぐ着くぞ」
俺は小声で呼びかける。
「ん」
井上は眠っていたのだ。
「ごめん、昨日遅くまでアニメ見てたから、もうちょっと寝かせて」
彼女はそう言うと、また目を閉じる。
「………何見てたんだ?」
俺は少し呆れた風に尋ねる。
「何だと思う?」
井上は目を開けて、俺を見てきた。
「リアタイか?」
「もち」
「……もしかして、とある魔法の黙示録か?」
俺は予想する。
能力者達が住まう学園都市で、レベル0が奮闘する話。
「正解」
井上は嬉しそうな顔をする。
「お前、あれ、深夜2時からだぞ。それにあの時間帯アニメ4作あるから、計2時間だろ。寝たの4時ってことか」
「えへ」
井上は肩をすくめる。
「因みに?誰が好きなんだ?」
俺は聞いてみる。
「んー?アクセラレータ」
「成程、そっちか」
「佐々木は?」
「あー、土御門」
「!?」
井上は目を瞬いて俺を見る。
「マニアックなところついてきたね」
井上は驚いた顔で俺を見ていた。
2ヶ月ほど接して分かったことがある。
井上は結構ヲタクである。因みに、自分もまあヲタクなので、井上の言っていることがよく分かる。
ここまで話の合う女子は、初めてだった。
「はいはい。それより、ギリギリまで寝てていいぞ。起こしてやるから」
俺がそう言うと、井上は安心したように目を閉じるのだった。
♢
ホテルに到着し、荷物を置くと、とりあえずホテルで昼食を取る。
これもまた班行動なため、6人がけの丸テーブルに座る。
そして、またまた俺の隣に井上が腰を下ろした。
お昼は「えきそば」という普通の蕎麦じゃなくて、中華麺に和風出汁という面白い組み合わせの料理だった。
シンプルだが、普通に美味い。
「あ、美味しい」
隣で井上が呟く。
あったかいのが、体に染み渡る。
「確かに、美味い」
俺も同意する。
「で、この後何するんだっけ」
井上は班長を務めてくれる田原みかに尋ねる。
「1日目はね、姫路城のぼって、その後歴史博物館」
田原は旅行のしおりを見ながら答える。
「了解」
井上は簡潔に返事する。
必要最低限の会話しかしないので、井上と田原はあまり仲が良くないのかもしれないと俺は思った。
まあ、聞くほどではない。
「まあ、折角来たんだし、楽しもうぜ」
副班長である田原の彼氏、栗原がそう言った。
「そうだな」
俺は同意する。
そして、この修学旅行で俺は井上のことをたくさん知ることになる。
「とある魔術の禁書目録」はご存知ですか⁇
これを見たとき、何て面白い作品なのかとハマった記憶があります。
面白すぎて、原作を買いに走りましたね!
キャラも世界観も今までにないもので、とても興味がわきました(*´-`)
アニメも漫画も好きですが、私は原作小説派です。
是非、読んでみてください♪