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彼女の推し作家は




また、春がやって来た。

クラスの面子は去年と変わらない。何故なら、高校は2年に上がる時にコース選択を迫られるからだ。

俺の高校は珍しく、文系、理系、それと福祉コース、そして文理コースが存在している。


俺はその文理コース2年目の、今日から3年生である。


変わりばえのないクラス。

変わりばえのない風景。


今年も何事もなく、一年が過ぎて行くのだろうと思っていた。


「隣、よろしくね」

そんな俺の席の隣に座って、声をかけてきたのは、井上だった。


去年から面子も何も変わらないので、去年の続きのように席替えが行われた。


「よろしく。井上とは隣初めてだな」

「確かに」

井上は記憶を辿ってから同意すると、1時間目の準備を始める。


俺は既に用意していたので、始まるまでの短い間だが、本を取り出した。


「……何読んでるの?」

井上のそんな声が聞こえてきたが、俺とは思わず読書を続ける。

「佐々木、何読んでるの?」

「え、俺?」

俺は驚いた顔で井上を見た。


井上は机に片肘をつき、まっすぐ俺の顔を見てきていた。

初めて真正面から顔を見たが、普通に可愛い。

セミロングの黒髪を後頭部で軽く団子にまとめているハーフアップという髪型をしていた。


確か、この髪型はハーフアップのはずだ。姉貴がそう言っていた記憶がある。


「何読んでるの?」

井上はもう一度俺に尋ねてきた。

「あー…、これか」

俺は読んでいた本に栞を挟む。

ブックカバーをしているので、本のタイトルが見えないのだ。

俺は無言で本を差し出した。


「いいの?」

井上は本を受け取る。

「ストーリーシリーズだ」

俺は先にタイトルを言う。

「??あ、え、あの、西雄(にしお)維新さんの?」

井上は一瞬考えたのち、驚いた顔になり、本を開けて作者やらを調べる。


「え、知ってるのか?」

俺は逆に聞き返す。

「その人の他の小説持ってる!」

井上は興奮したように答えた。

まさか知っている人がいるとは思わず、俺は驚く。


知っている人は知っている作者だが。


「珍しいな。俺の周りには知ってる人があまりいないんだが」

「そうなの?その人の話、面白いよねー」

にやっと笑う井上。


「分かる」

俺は頷く。

「これ1冊目?」

井上は尋ねてくる。

「いや、最新刊。1巻から読むか?」

その問いに、井上はとても目を輝かせた。そんな顔の井上を見たことがないので、俺は驚く。


「読むッ!!!」

「お前………は失礼だな。井上って意外だな。本読むんだな」

俺は言う。


ビジュアルも良い。陽キャなイメージだが。

このクラスで読書をする者なんて、陰キャな方に分類されるだろう。


去年から同じクラスだが、井上はどちらかと言うと陽キャグループだと思うのだが。


「意外?そう?めっちゃ本読むけどね。どちらかと言うと、漫画の方が好きだけど」

井上は笑って答える。

「へー!意外だな。じゃあ、明日1巻持ってくるわ」

「あ、じゃあ、私も維新さんの他の小説持って来ようか?」

井上は提案する。

作家をさん付けするのは、本物だ。


「マジで?じゃあ、お願いしてもいいっすか」

俺は思わずそう返す。

「何で敬語なの」

井上は笑う。


こうして、俺、佐々木隆臣(たかおみ)は、井上葉月とこの日初めて長く喋った。

いや、女子とこんなに会話が続いたのは初めてだった。







翌日、西雄維新の本を貸し借りすると、井上はとても嬉しそうな顔をしていた。

彼女は鞄の中からマイブックカバーを取り出し、俺の本に嵌める。


「わざわざブックカバーしなくていいんだぞ」

俺は言う。

「人に貸してもらうんだから、汚しちゃ駄目でしょ」

「……」

俺は井上に貸してもらった本を見る。


彼女の本には、本屋でつけてもらえるブックカバーがしてある。


「それに、なるべく長く綺麗に保存したいでしょ?」

井上は笑顔で言葉を重ねる。


それだけ言うと、井上は早速本を読み始めるのだった。




皆さんは西尾維新さんご存知でしょうか⁇

「物語シリーズ」面白いですよね!

私は主人公と忍ちゃんのやりとりが大好きです(*´-`)

あと、忍野さんも!

是非、原作読んでみてください♪

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