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ある少年の猫カフェ⑪

「…………は??」

 突然、話しかけられて驚いた。というか、何の話だ??

「そいつは『ぎゃお』というのか??まあ、えらく個性的な名を付けたもんだ」

「な………!?」

 なんでその名を。っていうか、俺、口に出して言ったか??そして話の流れから察すると、さっきの『足元に』って俺の足元に猫が──ぎゃおがいるってことなのか??と、慌てて足元を覗き見るが、期待に反してそこにはなにもいなかった。

「いねえじゃん…」

「なんだ。見えてないのか??それはまあ、気の毒にな」

 店主は言葉とは裏腹な、どうでも良い口調で俺の前にカフェラテを置く。俺は、憐れむような目線を向けてきたくせに、感情は一切乗せてないその言い方と言葉にムッとした。


 ただ『気の毒』という一言だけは、俺に対して言っているようには聞こえなかったけど。


 変な場所。変な猫カフェ。さらには、ひときわ変な店主。

「なんなんだ…この状況。悪い夢か?」

「夢だと思いたいなら、まあ、そう思っておけばいい」

 とりあえず注文したものは飲め。そう言って店主は、再びカウンターの中でくつろぎ始める。

「……………」

 さっきから思ってたが、ずいぶんとやる気のない店主だな。こんなんで経営は大丈夫なのか??いや、そもそも営業する気のない立地だし、利益なんぞどうでも良いんだろうな??だとしたら、いったい、なんのために。

「ここは、なんのためにあるんだ?」

「………ほう。そんなことを聞いてきたのはお前が初めてだな」

 何気なく疑問を口に出すと、店主は驚いたように俺を見た。それでこの店には、過去、俺の他にも客が居たんだな、と察する。だが、その目的はまるで解らない。

「人を迷わせて、変な店に誘導する…妖怪か何かなのか?」

「妖怪とは失敬な。しかも迷わせて誘導なんぞ、この俺がする訳ないだろう。面倒臭い」

「お前じゃないってのか?じゃあ、誰が…」

 てっきりこの店主が人外の何かで、人を惑わせているのか?とか考えたのだが。言われてみれば心底、面倒臭げに話す様子を見ていると、この店主が自ら人を招くなんてしそうもない、と思えた。

「あんた、ものぐさそうだもんな…」

「ほっとけ」

 俺が正直な感想を口にすると店主は、拗ねたように苦笑いを浮かべた。俺は『いい年こいて拗ねんなよ…』と心の中でさらに突っ込む。

 そういや、店主の年齢っていくつくらいなんだろうな??見た感じ20代から30代って感じだけど。あと、見た目だけは女子受けしそう。いわゆるイケメンってやつ。顔面だけで客を呼べそうなのに、いかんせん立地が悪すぎる。


 ああ、でも、ここって本当に日本なんだろうか??


 違うよな。たぶん。


「さすが若いだけあって、状況を理解する速度が速いな。ラノベとか読んでたりすんのか??」

「もしかして、さっきから俺の考え読んでたりする?あんた、あんた、人外ってことか…」

「人外とはまた失敬な。神様と呼べ。神様と」

「…………はあ????」

 店主はため息をつくと、とんでもないことを言い始めた。

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