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5、初心者クエスト





懐かしいわ⋯。



私達は、初心者クエストである薬草を納品しよう!を受けていた。というのも⋯。


「ご主人様、私が説明致します。まず、クエストにはランク設定が設けられています。ギルドでクエストを受注するにはランクの基準を満たしている必要があり、ランクに満たしていない冒険者はクエスト受注許可がおりません。ランクにはFからSSランクまであります。SSランクになれば、最高難易度のクエストを受注することが可能です。ランクを上げる為には、Fランクからのクエストをクリアしていく必要があるのです」


「そうそう、それで俺達はFランクの薬草納品クエストを受注して薬草を取りに来てんだよ」


「さすが!分かりやすい!私が説明したところで多分、理解して貰えない自信あるよ」


って誰に説明してるんだか(読者にだよ!!)⋯。


「この辺りに生えてたよね?」


「確か、この辺りだったはず⋯」


「はい、間違いないかと」


「だけど、見つからなくない?なんで?」


んー何か見落としてない?ゲームの知識があるとはいえ、ここは通常のゲームより難易度が格段に上がってるはずなんだよね。



一体、簡単に見つかるはずの薬草は何処へ────。



「「ん⋯?」」


「ん?2人とも、どうしたの?」


何やら2人がキョロキョロしだした。


「なぁ、聞こえるよな?ものすごい数の足音がこっちに向かってきてるように聞こえるんだが?」


「えぇ、六時の方向⋯真後ろから聞こえますね」


「え?!ど、どんな足音?!」


「えっと⋯⋯ドタドタ?」


待ってそれって───


「やばい!!Cランクの魔物(モンスター)がこっちに向かってるってことじゃない!!いやだけど、私は無理でも2人なら余裕か⋯」


「ご主人!任せとけ!!これはチャンスだろ?」


「そうですね、ご主人様のレベルも上がり一石二鳥でしょう。ご主人様、少々失礼致しますね」


「え?」


クロードが声をかけてきて、すぐに抱き上げられた。お姫様抱っこで。


「──────────」


私の脳はフリーズした。は?推しにお姫様抱っこされてるってどういうこと?どういう状況?!え?!何?!なになになに?!なんのご褒美!?私何も、良い事してませんよ?!薬草すら見つけてないよ?!と考えているうちに、クロードが私を木の幹に乗せてくれていた。


「ご主人様、くれぐれも下には降りぬように、お願い致します。こちらで、見守っていて下さい。すぐに片付けますので」


それではと言い残して、クロードは下へ降りた。





す、スマートすぎるうううぅううう!!




あ〜!!かっこいいよおおおおおォォォォォ!一家に1人欲しい。維持費(人件費)かかりすぎて、破綻する未来しか見えないけど。


「ご主人〜!!そこで、ゆっくりしててくれよなー!!あ、クロード!来たぞ!!」


「見てれば分かりますよ」


「それもそうだな!それじゃ、俺は、アイツらの動きを止めるから一発で仕留めろよ!」


「問題ありません⋯!」


風の足止め(ウィンドストップ)!」


わぁ⋯!!


Cランクでそこそこ強い角が生えた、魔物が全部浮いてる!あの魔物は、ドリルランナー。獲物を捉えた瞬間それに向かって、ひたすらに突っ込んでくる魔物だ。


ただ、まっすぐ突っ込んで攻撃してくるからといって油断してると死ぬ。その一撃を食らうと高確率で瀕死の重体になる。


それに避けようにも、避けきれないのだ。っていうのが⋯分かりやすく言うと、追跡ミサイルというのをご存知だろうか?標的にした相手が移動したり起動を変えれば、すぐさま向きを変える動き方。


あれを行えるのが、ドリルランナーという魔物だ。単純なようで単純じゃないのだ。ただし、角が弱点なので遠距離タイプのキャラには相性がいい。


「私の番ですね────」


クロードは、あちこちから複数の暗器を取り出しドリルランナーの急所となる角を破壊した。


「て、的確すぎる⋯」








バキバキバキバキバキバキバキ!!







と一斉に砕けた音が聞こえ、魔物の断末魔が複数聞こえたと同時に消滅した。魔物がいたであろう場所には、かなりの数の魔石というものがゴロゴロと落ちていた。


あ、魔石っていうのは魔物を倒した時に出る素材のこと。この素材を使って武器を強化したり、作成したり様々な武器強化に使うことが出来る。防具もしかり。


ただ、特に使い道もないので、レア度が低い魔物の魔石は売却した方が良かったりする。


『レベルが上がりました』


突然、機械音声が聞こえた。あ、この声は!プログラムちゃんだわ!!ステータスを開いて!



─────

Lv26〈Lv25up〉 《称号》瀕死の救世主

声死の取得者


HP 3326/3326

MP 2356/2356


状態:衰弱、幸福、興奮、満腹


《スキル》

精神 Lv5

話術 Lv6

料理 Lv3

観察 Lv8

声死 Lv1

─────


うんうん、かなり上がったわ。大量の収穫があったしね。


『新たな魔法を覚えました、デイリークエスト完了しました。報酬をお受け取り下さい』


あ。簡単な魔法なら使えるんじゃないかな。それからデイリークエスト?あの天使(管理者)が言ってたクエストのことかな。


『プレゼントボックスを開きます』


プログラムちゃんが勝手に開いてくれた。1枚のガチャが手に入ったらしい。


『レベルアップボーナスの報酬も、お受け取りください』


更に追加された。

おぉー!!銅のガチャ券計21枚、銀のガチャ券3枚、金のガチャ券3枚、50000(セント)全然渋くない!!気がする!!と思って序盤で、無闇矢鱈につぎ込むと偉いことになる。


武器強化やらには、やたら高額な、お金がかかるだけでなく素材も、たんまり必要なので⋯あっという間に消える。お金に羽が生えて飛んでいくんだぁぁあああ!!金策が超絶しんどかった覚えがあるわ。


確認したいことは山ほどある。魔法の取得状況に、ガチャ券、デイリークエストやらの報酬などなど⋯確認しなければならないが。安全な所でやろうかな。


「2人ともお疲れ様!!」


「ご主人!見てたか!?」


「ご主人様、お待たせ致しました。魔石も確保しておりますので、後程ギルドにて報告致しましょう」


「2人とも〜!見てたよー!了解〜!一旦、魔石はイベントリ(持ち物)に入れて置いて薬草の探索続けるよー!それからレベルアップしましたー!!ありがとうー!」


あ、なんでレベルアップしたか説明してたっけ?パーティーを組んでると自動的に仲間が倒したポイントが全員に同数ポイント割り振りされるのだ!


ここは、このゲームのいいところ。誰が倒したとか関係ないので。序盤はレベルを上げやすい。


「良かったなー!それじゃ、ご主人!こっちまで運ぶぞ!」


「え?!カルセル?!」


『うん』という前に、体が浮いた。



ひぃいいいい〜!!浮いとる〜?!!そして、ふたりがいる方へ引き寄せられた。


「⋯⋯ぐへっ⋯⋯」


「ご、ご主人⋯?大丈夫か?変な声出てるけど⋯」


「カルセル⋯貴方のやり方が全くよくない!ご主人様は、衰弱しておられます。衰弱しておられるということは、それ相応に気をつけて対処せねばならないというのに───貴方は、いつも───〈以下略〉」


あぁ⋯⋯クロードのお怒りモードも好きです。ご馳走様。(そんな余裕あるんだな)はぁ⋯怖かった。気持ち悪かったけど、少し安静にしたらマシになった。


「ふ、2人とも不甲斐ない私でごめんね。とりあえず、レベルは上がったけど衰弱状態は取れてなくて⋯まだ無理はできない状況かな。クエストを先にクリアして衰弱ステータスを、まずは無くしたいのが目標。だから、行こうか」


「ご主人様⋯謝らないで下さい。私の監督不足で大変申し訳ございませんでした⋯。カルセルにはキツくお灸を据えておきましたので」


カルセルを見てみると、ドヨーンとした暗い雰囲気が漂っている。うわぁ⋯こってり絞られてるわー(棒読み)。絞られて、ドヨンとしてるカルセルも好きだけどね!!(好きなんかい!)


「かなりコッテリ絞ったみたいだね⋯流石、クロード」


「お褒めに預かり光栄です」


「ご主人は褒めてねーよ!!」


あ、カルセルの元気が戻った。

ふふ⋯そうでなくっちゃ!


「カルセルの元気も取り戻したことだし。(立ち直るの早かったな)薬草探しにレッツゴー!って、そういえば探知機能あったよね。あれ使えば一発で何処にあるか分かるんでは?レベルも上がったし⋯確認してみようか」


「そういえば、そうでしたね。私共は、素材探し限定の探索魔法は取得できません(主人公のみ可能)ので」


「そういえば、そうだったな!ご主人のレベルが20に、なったら解放されてなかったか?」


「だよね。確認するよ」


取得した魔法一覧を見せて。プログラムちゃんに話しかける。


『魔法一覧を表示します』



シュン───────



──────────

○ケアル(小・回復魔法)

○リレット(洞窟やダンジョンから出口へ移動)

〇ファイア(小さな炎を出す魔法)

○ウォーター(小さな水を出す魔法)

〇ケアリー(状態異常を1つ治す)

○サーチル(特定の素材を探す)

──────────


Lv26でこれだけ?少し少ない⋯。ゲームと似てるようで似てないところもあるし⋯。とりあえず、サーチルは覚えてるから問題なしね。


───(サーチル)


無詠唱で唱えてみたら、地図がパッと浮かび上がって、場所を示してくれた。なるほど⋯ここから北東の位置にあるのね。


「2人とも、場所が分かったわ。着いてきて」


「お!さっすが、ご主人!仕事が早いな!」


「それほどでも⋯だよ?カルセル」


カルセルが普通に褒めてくれる嬉しい⋯!と言っても、二人のお陰なんですが。


「流石、私のご主人様です」


「私の?!!」


今、クロードが"私の"って言ったよ?!夢か?!幻か?!え?!ぐふっ!!


『ダメージを受けました』


「えっ⋯⋯」


まさか───────


『ダメージを受けたことにより、経験値が蓄積されます』


やべぇ、また体力減ってるじゃん⋯。見なくても分かるけども。


「ご主人?!なんで体力減ってんだ?!回復(ヒール)かけておくぞ?」


「ありがとう⋯助かるわ」


カルセルが、回復(ヒール)をかけてくれた。因みに、回復(ヒール)は中ぐらい回復してくれる。頻繁に使うよ⋯マジで。


それから、パーティー組んでると仲間のHP(ヒットポイント)とか、MP(マジックポイント)は頭の上に表示されるけれども、それは自分が相手よりLvが上の時だけなのは変わらない。


基本は何にも見えないのがデフォルトで、パーティー組むと表示される仕組み。知って損はなし!


「長らくお待たせしました!行こうか」







そうして、地図に指し示された北東へと向かうのであった───。








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