#1 調査任務
久しぶりの新作となります。
キャラクター達共々宜しくお願い致します。
こちらの作品はどちらかの作品しか知らない、又はどちらの作品も知らないという方に、各作者の作品にも興味を持って頂けると嬉しいです。
このお話は本編である「異世界に創作キャラと転生しました」の第3エピソードと第4エピソード、#67と#68の間の時期に起こった出来事という設定です。
#1 調査任務
昶Side
あたしと亜耶は先日のアスコモイドグレルと呼称される大型魔導種(わかりやすく言えば怪獣レベルの超大型のモンスターだ)の排除を目的とした作戦行動が終了した後に改めて貰った一週間の休暇を終えて待機していた。
そこに現在世話になっている傭兵組織アトロポスから呼び出しがあり、その傭兵艦隊の臨時旗艦である真砂型空中重巡洋艦「黒姫」(ちなみに1番艦「真砂」、2番艦「黒姫」、3番艦「白山」が就役中だ)へと出向いていた。
ちなみに旧日本海軍の重巡洋艦と同じように艦名に日本の山の名前が使われているのは設計者が日本人転生者の技術者だからである。
この世界では転生者は特に珍しい存在ではない。どれくらいの人数の転生者がいるのかというと州規模の地方自治体が一個作れる位の転生者人口があるという。
重巡洋艦が臨時旗艦になっているのはこの前の対アスコモイドグレル戦でそれまで旗艦であった空中強襲揚陸艦「アトロポス」が戦闘によって大破し沈没したからである。
現在はその代替の為にラティス帝国政府からその戦果による恩賞も兼ねてパルマポート・ベイ級空中護衛空母の無償譲渡が決定し、それを大規模改造した新しい強襲揚陸艦「龍牙」がドックで改装中である。
あたしと亜耶は水兵が案内してくれた小さな会議室に入るとそこにはよく知った顔があった。
「あれ?ラーシャ博士も呼ばれていたんですか?」
「ああ、君たちと同じ理由でな……状況の説明が私の役目だ」
「博士が状況説明するという事は魔法関連の事案でしょうか?」
「まあそんな所だ、詳しい内容は坂崎准将が話してくれるだろう……しかし君達二人はまだこの世界に転生して一年も経たないのに大変だな」
「でも必要とされている訳ですからそれだけでも有り難い話ですよ博士」
「そうですね、私も元々本の中で軍人だった能力を活かせますしわりと楽しいですよ」
「そうか、美耶が心配していてな……苦労していないか聞いておいてくれと言われたんだ」
「いい娘ね」
「……はい」
亜耶は微笑みながら頷いた。
あたしの名前は若桜昶、この世界へと転生した日本人だ。
元々あたしは所謂オタクで防衛大学を目指す高校3年生だった。
その内容は自分で同人誌を作ったりお気に入りのキャラクターのコスプレをしたり、好きな鉄道車両のNゲージ鉄道模型を組んだり、電動エアーガンを使ってのサバイバルゲームをしたりと色々な趣味を楽しみつつ過ごしていた。
しかしある日あたしはうっかり女神のミスによって不慮の事故に遭ってこの異世界に転生する事になった。
相方の涼月亜耶はあたしのような転生者とはまた違う「転生者カテゴリーⅡ」に分類される特殊な出自である。
亜耶はあたしがこの世界に転生する前、生前に日本で暮らしていた頃に趣味で描いていたオリジナルキャラ同人誌の主人公だった。
つまりあたしが考える理想の美少女として描いたのが亜耶だ。
その亜耶がこうして今あたしと一緒にいるのはあたしをうっかりミスで日本で死なせてこの世界に転生させたうっかり女神がそのお詫びであり、この世界での頼りになる相方としてこの世界へとよこしたのである。
能力は同人誌での設定をそのまま持った状態でこの世界に来たために所謂チートレベルでなんでもそつなくこなす天才肌。
容姿は陽光をきらきらと反射させる見事な銀髪ロングに神秘的な金色の瞳、ちょっとツリ眼で切れ長のクール系で性格は冷静。余計なおしゃべりをするタイプではないが冷徹ではない。
あたしにとっては親友であり、そして妹に等しい大切な存在だ。
ラーシャ博士は一見すると中学生程度の年齢に見えるが実際は180才を越えるエルフである。
そして魔法学の専門家でもあり現在は魔法省で仕事をしている。
故あって亜耶の妹 (正確には亜耶のホムンクルスなのだが)である美耶の保護者でもある。
なんだかんだと世間話をしているとがちゃりと会議室のドアが開きこの傭兵艦隊のトップである坂崎准将と副官のティア大佐が入ってきた。
あたしと亜耶は立ち上がると敬礼する。
「お、揃っているようだな」
「「若桜昶少佐、涼月亜耶少佐、要請により出頭しました」」
「よく来てくれた、君達の経験が必要な任務でね」
「あたし達の経験ですか?」
「ああ、場所が場所なもんでね」
「?……どこなのですか?」
亜耶が怪訝そうな表情をする。
「キャンドルタウン海域だ」
「「!!」」
なるほど、この前アスコモイドグレルが出現した海域か。
「……そこから先は私が話そう、同行しなきゃならんしな」
「え?ラーシャ博士もですか?」
「今回の案件の中心になる場所がキャンドルタウンのマナヴォルカン群なのでな」
「ではまたアスコモイドグレルみたいな超大型魔導種が出現する可能性が?」
「無いとは言えないがあるとも言い切れなくてな、それの調査をする事になったのだが前回の一件を経験していて、尚且つ知り合いの君達にやって貰おうと私から坂崎准将に依頼したんだよ」
「そういう事でしたか……現状でどの程度の現場の把握ができてるんです?」
あたしは出された紅茶を一口飲むとカップをソーサーに置いてラーシャ博士に聞いた。
「うん、マナヴォルカンの基礎的な事は君達も知っているな?」
「この惑星の深部で生成された魔力が湧き出る無限の泉、もしくは火口のようなものと理解していますが」
「その通りだ、そして時にそのバランスが崩れて膨大な魔力が噴出する際に魔導種と呼ばれる魔力を持った特殊モンスターがこの世界とはまた違う世界から引き込まれて出現する」
あたしと亜耶は黙って頷く。つい先日もその事案があってその対処にあたし達傭兵や帝国軍が出動し大きな被害を出しつつもその驚異の排除に成功したばかりである。
ちなみにそれがどの程度の驚異であり被害であったのかわかりやすく例えると東宝の特撮映画かハリウッドの大作パニック映画かというレベルの大規模災害だった。
「……それを人為的に、テロ攻撃として使われてしまったのが先日我々が戦った対アスコモイドグレル戦な訳だがその後に妙な変化があってね、当該海域で哨戒任務に出ていた駆潜艇12号が報告をあげて来た……副長、資料を」
「はい、こちらがその資料です」
坂崎准将がティア副長から資料の束をテーブルに広げて折れ線グラフを広げるとラーシャ博士の右手がそのグラフの一点を指した。
「魔力量と出現した魔導種の数をまとめたグラフなんだが二人共ここを見てくれ」
「……あれ?」
「これは……!」
そのグラフを見てみると一定の周期で湧き出す魔力量が大きく増加する日がありそれに合わせて魔導種がちょこちょこと出現しているのが見て取れた。
「これってもう数日程度でまた魔力の湧出量が増えるんじゃ?」
「今の所、私はこれを「魔力の揺り戻し」ではないかと仮説を立てたんだ」
「揺り戻し、ですか……」
うーん、こんな事もあるのか。日本、いや地球にはこんな場所無かったからなあ。
あたしの表情を察したのかラーシャ博士はわかりやすく例えた。
「君達日本人転生者には大地震の後の「余震」と言った方がわかりやすいかもしれんな」
「ああ、なるほど!確かにそう言われると理解しやすいです博士」
「とにかく現状の数値をみる限りまた魔力の噴出量が異常に増加する……そう判断せざるを得ないと考えている」
「……状況はわかりました、具体的にはどうするのです?」
亜耶が坂崎准将に任務内容を振ると准将は再び資料を開いた。
「この専用の魔力センサーポッドを機体に積んでの哨戒任務になるが、再び厄介な魔導種が出現した時の対処もして貰いたい……雇い主は魔法省とラティス帝国軍だが報酬はセンサーポッドでの調査分は魔法省から、対魔導種の戦闘に関しては帝国軍からそれぞれこの金額が支払われる……二人とも受けてくれるか?」
坂崎准将に魔法省と帝国軍が提示している金額を記した書類を見せられたがそれは充分に任務に見合うと判断できる金額だった。
「あたしは異存ありません……亜耶は?」
「私もこの条件ならば同じく異存はありません」
「よし、では君達に正式に依頼する……早速君達の機体「ミスティックシャドウⅡ」に魔力センサーポッドと操作パネルを取り付けさせるから機体を飛行甲板から格納庫の整備エリアへ移動させておいてくれ」
「「了解しました」」
かくしてあたしと亜耶はこの仕事を傭兵として引き受ける事となった。
…………そしてまだこの時は意外な友人達と再会し、それが引き金となった騒ぎに巻き込まれるとはあたしと亜耶はこれっぽっちも思っていなかったのである。
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