メルへニカ王国の概要
【メルへニカ王国】
通称メルへニカ。ガイアースと呼ばれる生物の住む惑星に存在し、メルへニカ本島とその周辺に数多く存在する島々を含むメルへニカ諸島からなる島国国家である。メルへニカ本島と呼ばれる島は、上空から見ればハートの形をしていることから、ハートアイランドという別名を持つ。
海を挟んだ隣国には様々な国家が存在し、ガイアースの人々は生まれながらに魔力を持ち、魔法を使うことができる。科学も発達しており、魔法科学と呼ばれるツールが非常に需要が高い。生活が便利であるばかりか、あらゆる病気や怪我を治すことができるが、寿命による死だけは防ぐことができない。
【国旗】
縦と横に２：３の割合のスタンダードタイプの国旗であり、縦３つのストライプである。両側が桃色で中央は白、更に中央には桃色のハートが描かれている。桃色は王国のシンボルカラーにして博愛精神の象徴であり、ハートは王国のシンボルマークである。
中央の白い空白はメルへニカ王国以外の国家に対する寛容と敬意を表している。王国自体のシンボルは歴代の国王である。現在の国王は元老院に対して一切干渉することはなく、首都アウグストを中心に各地へと巡業し、公務を行う上で王国民をまとめる役割を担っている。
【公用語】
現代ではメルへニカ語だが、昔は古代メルへニカ語が使われており、文献として今も残っている。基本的に３ヵ国語以上を話せる人が多く、メルへニカ語の他にも近隣諸国の言語を当たり前のように話すことができる。ガイアースの言語は全て古代メルへニカ語が祖先となっている。
【首都】
国内最大の都市であるアウグストである。名前の由来は王族の家名であり、初代国王であるロムル・オーガスト・ブルートゥルスにちなんだものである。最大の港であるオーギュスト港、最大の空港であるオーガスタス空港も由来は同じである。
【通貨】
メルへニカの通貨は古代からメルヘンである。補助通貨はグリムであり、１００グリムで１メルヘンである。現代では紙幣や硬貨は全て廃止されており、全てが電子マネーとなってからは税金を誤魔化すことができなくなり、全王国民の生活の質が大幅に向上した。
【民族衣装】
メルへニカの民族衣装はブラウスやコルセットを基調とした可愛らしい服装が中心である。男女両用が標準化されており、男装や女装の概念はなく、家庭によって標準色からデザインまでが多種多様である。地域性もあり、服装を見ればどこに拠点を置いているかが分かるほどである。
【歴史】
メルへニカ王国の歴史は１万年以上にも及び、ガイアース史上最も歴史が長い国である。大きく分けて王制時代、共和制時代、そして現在の元首制時代が存在するが、いずれも初代は王族の家系である。ウィトゲンシュタイン家が国内最大勢力として、事実上の支配者となっている。
【王制時代】
１万年以上前に魔法使いの一族によって建国され、以後メルへニカ王国と命名された。初代国王のロムル・オーガスト・ブルートゥルスは軍事征服を行って徐々に領土を広げていき、建国１８年頃にはメルへニカ島の全土を征服した。強さの源は魔法兵器であり、現代ほどの強さはなかった。
しかしながら、当時としては破格の強さであったことが考古学の研究により証明された。５代目国王の時代には、メルへニカ島の周辺のメルへニカ諸島を制圧して現在の領土となった。その後は数百年もかけて惑星ガイアース全土を征服し、メルへニカによる平和が長く続いた。
最盛期にはガイアース全土で現物支給型ベーシックインカムが導入され、王国民であれば小麦粉を必要分だけ受け取ることができたため、この時代は餓死者が１人も出なかった。パクス・メルヘニカ時代と呼ばれたこの時代を羨ましがる者は今でも多く、メルへニカは全世界を欲しいままにした。
しかし聡明でない無能な国王が立て続けに即位する時代を迎えると、属州に対する重税が激しくなり、反感を持った属州が抵抗を示すようになったことをきっかけに世界各地で反乱が起きた。徐々に独立国が誕生したために、国土は縮小の一途を辿った。
魔法兵器による内乱が収まらず、世界人口は減少した。事態を重く見た国王は史上初めて魔法兵器を禁止化し、全ての魔法兵器を無力化して事を収めたが完全撲滅には至らず、後々革命の原因となった。建国２０００年頃には多くの領土を失い、現在のメルへニカ領と周辺の陸地しか領土が残らなかった。
最後の国王の時代を迎えると、本国以外の全ての属州を失い、王国民の信頼も失った。これにより国王の議会であった元老院が影響力を強め、王族の粛清が始まってからは王国民も元老院を支持した。これがメルへニカ革命である。最後の国王は国外へ逃亡し、建国以来続いていた王制はここに終結した。
【共和制時代】
王制が終わると、これまでは国王の補佐としての役割を果たしていた元老院が政権を握り、再び王制になることを防ぐために国家元首を２人置くことになった。それが今も続く執政官である。しかしながら、高等な教育を受けて育った実力者はいずれも王族の出身であり、初代執政官となった２人も王族の血を引いていたが、当時はＤＮＡ鑑定がなかったため、この事実は伏せられていた。
ロムル以来続いてきた王族の生き残りは当分の間、世を忍んで生きることになり、王族だとばれれば迫害を受ける恐れがあったために家名を変えることを余儀なくされていた。今の象徴国王を含む王族たちはその末裔である。当時国外領土を全て失っていたメルへニカは外国からの侵略に悩まされることになる。
魔法兵器の密輸も悩みの種であり、メルへニカは密輸が発覚する度に緊急事態宣言を発動しなければならず、王制時代にも複数回緊急事態宣言を発動していた。ロムルは魔法兵器の国外流出を警戒したため、世界征服には反対していたが、征服賛成派が多かったこともあり、嫌気がさして国を出た過去がある。
それから数千年もの間は内政に努め、ひっそりと鳴りを潜めて平和な共和制を維持し続けており、これは執政官が血筋ではなく、部下の中で最も優秀な者を後継の執政官とし続けたためであると言われているが、実際は王族を祖先を持つ遠戚であった。
伝染病が世界的に大流行する時代を迎える度に、常に清潔を心掛ける独自の政策をし続けたため、メルへニカからは犠牲者が１人も出なかったという実績もある。王制時代の反省で世界征服は行わなくなり、貧困対策のために現金支給型ベーシックインカムを始めると、内政に優れた政治家が世に多く出たため、国内の産業が大きく成長した。
資源の輸出によって外貨を得たこともあり財政は潤った。外国からの侵略がほとんどなかった時代には軍人が戦争のやり方を忘れてしまうほどであった。しかし共和制末期になると、隣国であるジャポニア帝国から度々侵略を受けるようになってしまい、防衛戦争が断続的に続くことになったが、最後にはベルガ・オーガスト・ロートリンゲン率いる王国軍がジャポニアとの戦争に勝利すると共に共和制は終結した。
【元首制時代】
共和制が終焉を迎えた原因はジャポニア帝国との戦争である。元老院は以前から帝国自衛隊の侵攻やジャポニアによる内政干渉に悩まされていた。メルへニカはジャポニアに反発する者が多く、ジャポニアに真っ向から反発するベルガは王国民から絶大な支持を受けるに至った。元老院は強国に従うだけの弱腰議会になり下がっており、権威を大きく損ねていた。
すると今度は相対的に軍が力を持つようになったため、軍人出身の執政官が表立って政治を行うようになり、軍事費が大幅に増大された。魔弾砲が発明されるとジャポニアとの力関係が逆転し、メルへニカはジャポニアに魔弾砲を撃ち込もうとするが、その直前に密輸された魔法兵器が返還され、最悪の事態は免れた。ベルガが独裁官に就任するとジャポニアと直接対決をするようになり、防衛戦争を制していった。
ベルガ率いる王国軍がジャポニア帝国首都、エドムサシを占領すると、ジャポニアはようやく降伏し、防衛戦争は終結した。ジャポニアの指導者たちは裁判にかけられ、その多くが平和を乱した戦犯として処刑された。ベルガは防衛戦争を勝利に導いた指導者として、元老院や王国民から大いに歓迎され迎えられた。
元老院はベルガによる独裁を恐れていたが、ベルガは独裁官などの非常大権を全て返還したために元老院は歓喜した。そこでベルガは元老院から戦利品という名目で第一人者という称号を何度も辞退した上で受け取った。第一人者には全部で３つの権限が付与されており、執政官命令権、最高司令官命令権、護民官職権といった権限が集中した称号であった。
元老院や王国軍には好きに命令できる上に、他の議員の議案は白紙に戻すことができるため、この年をもって共和制は誰も気づかぬまま終結し、元首制の時代を迎えることになった。ベルガ以降は有能な後継者たちが第一人者の称号を受け継ぐこととなった。
【政治】
元々は国王率いる王室が政治を行い、元老院が王室の補佐だったが革命により王室が消滅。王室の家は今も残っているが、政治の実権は元老院が握っており、政党は存在しない。国家元首は任期１年の執政官が毎年２名が選ばれる。
執政官が途中で死亡した場合は、元老院議員の中から優先順位の高い者が繰り上がりでその年の執政官に就任することになる。第一人者が登場して元首制になってからは執政官の必要性が薄まり、相対的に影響力を弱めることになった。
【軍事】
メルへニカでは王国軍と呼ばれ、陸軍と空軍と海軍が存在する。魔法兵器を搭載しており、かつては魔法兵器で世界征服を成し遂げた経歴もあるが、現在は国土防衛のためだけに配備されている。魔法科学が進歩してからは宇宙も統治下となり、守備範囲を更に広げている。
【地理】
国土はメルへニカ諸島全域を合わせて１２３４万５６７８平方メートル。メルへニカ島の大半が平原である。領土は他の国家よりも格段に広大である。可住地面積も広く、島の所々には緑豊かな山や森が存在する。周辺のメルへニカ諸島は全てリゾート地となっている。
【気候】
他の多くの国と同様に四季が存在し、それぞれの季節を楽しむ文化が根づいているが、気温差はかなり緩い方である。自然災害はあまりないが、１日あたりの降水量は多く、在宅勤務が定着した原因となっている。魔法科学により、日光や雨を熱や真水に変換することができる。
【経済】
国内総生産は世界トップクラス。１人あたりの生産性も遥かに高いのが特徴である。現金支給型ベーシックインカムを導入しているため絶対的貧困が存在せず、経済格差も比較的少ない。そのため餓死者が出ると大ニュースになるほど飢餓は少なく、貧困対策先進国である。
食べるための労働をしなくてもいいため、自営業の職人やアーティストなどが非常に多い。完全キャッシュレス社会であり、インターネットを導入してから間もなく現金が廃止されたため、決済は全て自動決済である。店を出るだけで決済ができるため、王国民は財布すら持ち歩かない。
税金は１００％の消費税以外はなしという単純な仕組みであり、決済の時点で足跡が残るため、確定申告は不要である。税金の使い道もハッキリしているため、不満に思う王国民はいない。ウィトゲンシュタイン家の不動産、フェルトベルク家の銀行、プリューゲルクラプフェン家のＩＴ企業などが金融支配を実現している。これらの名家は三大財閥と呼ばれ、メルへニカの経済を支えている。
【鉱業】
鉄鋼、ボーキサイト、宝石などが採れるため、共和政時代においては他国から侵略を受ける原因となっていた。産業革命時代を迎えると、ウィトゲンシュタイン家がブルクベルク属州に広大な土地を購入し、資源を掘り下げたことで莫大な利益を得た。
【農業】
牛乳、卵、小麦などの名産地が多く、多くの資源を自前で豊富に採ることができる。惑星ガイアースにおいては多くの洋食洋菓子の発祥地がメルへニカである。魔法による疑似熱帯農業により、コーヒーベルト圏外で唯一コーヒーが採れる国であり、その全てが最高級品種である。
【科学技術】
魔法と科学が融合した魔法科学により、補給せずとも武器庫から瞬間装填できる魔法兵器が存在する。古代では武器庫から弓矢を瞬間装填できる弓が使われ、今では世界中の生活必需品にも応用されている。魔法が施された兵器は国外への持ち出しが禁止されている。
魔法科学企業最大手であるプリューゲルクラプフェン家が特許を持っている。魔法科学による医療も存在する。他の国では治せない病気や怪我を治すため、難病患者がメルへニカを訪問することもあり、兵器よりも人々の生活のために使われる傾向が強くなっている。
【交通】
左側通行であり、全ての自動車が魔力式全自動車であるため、免許がなくても乗ることができる。手動運転には免許が必要であり、事故を起こした場合は運転手が全責任を負うことになる。魔法科学特許の関係上、外国への渡航には専用の飛行機や船を使用する。
各属州に繋がる電車が通っており、地下鉄はチューブと呼ばれている。全自動タクシーが所々にあるため、気軽に外出を行える。自転車専用道路もあり、信号機のないラウンドアバウトである。都市から都市へと瞬間移動が行えるワープゾーンがあり、大まかな移動を行う時に利用される。
【国民】
メルへニカの人口は１０億５０００万人前後で推移している。人口分布は古代から住み続けているメルへニカ人が人口の約９５％以上を占めているが、一方で移民も受け入れている多民族国家である。自己主張の強い国民性であり、様々な民族に対応するために法律が発達した。
【人名】
食べ物やお菓子の名前がそのまま個人名として使われることがある大変珍しい国であり、ミドルネームを持つ者も多い。男性系や女性系の名前を性別に関係なく使用することも可能である。広く名の知れた有名人に限り、通称を第二の本名として使用することが可能である。
【性的少数者】
王国民の３割が性的少数者の国である。最も多いのは全性愛者、次いで多いのが両性愛者であり、世界一のジェンダーフリー大国である。メルへニカ人はストレートであっても中性的な人がかなり多く、見た目だけでは性別が分かりにくい。
そのため建国された時点で、既に同性婚が認められていた。メルへニカ人が外見も中身も性別に囚われないことは非常に有名であり、男性だがよく女性と間違われているジェンダーレス男性や、その真逆であるジェンダーレス女性も数多く存在する。
【宗教】
王国民のほとんどが無宗教であり、現実主義者ばかりで宗教に入っている人は大変珍しい。そのため冠婚葬祭はあまり根付いておらず、会場で食事会だけして終わりというお粗末な内容であることがほとんどである。一方で困った時には神に縋る者が多数派という変わった側面を持つ。
【婚姻】
事実婚も重婚も同性婚も選択的夫婦別性も可能だが、大半の人は事実婚を選択する。冠婚葬祭を行うのは一部の大金持ちくらいであるため、結婚式も結婚指輪も新婚旅行もない。婚姻は１５歳から可能であるが、成人である２０歳を迎えるまでは、保護者１人以上の許可が必要である。
初代国王であるロムルは全性愛者であり、１０人の彼女と４人の彼氏がいた記録が残っている。ポリアモリーが多数派であり、社会保障が充実していることもあって離婚率は低く、再婚率は高めである。子供を産むほど税金が安くなるため、一度も少子化に陥ったことがない。
【教育】
義務教育が存在しない唯一の国家であり、代わりにオルタナティブ教育が普及している。学校教育、家庭教育、クラブチーム、ボランティア、職人教育、自由研究などから好きな教育プランを選択でき、１人１人の子供に合った教育を受ける自由が保障されている。
子供が嫌がる教育内容を押しつけることは虐待と見なされ、禁止されているにもかかわらず、識字率は１００％であり、子供の学力も幸福度も非常に高い。学歴は全面的に低く、いくら学力を積んでも社会で通用しなければ何の意味もないという価値観が浸透している。
元々はメルへニカも義務教育だったが、全員に同じ教育を施せばそれでよかった時代が終わると、教育の在り方を考え直し、個性を重んじるなら子供の教育に大人の出る幕なしと判断したために今のオルタナティブ教育へと変化していった。飛び級も留年もあり、教育費は全て無料である。
【食文化】
メルへニカは数多くの洋食洋菓子の発祥地であり、伝統的な食べ物は地域毎に異なる。主食はパスタやピザなどが主流であり、お菓子はケーキやチョコレートなどが人気である。料理の見た目に対する拘りも強く、童話を模した盛りつけ飾りつけが各家庭で人気である。
ベーシックインカムのお陰で好きでもない仕事を嫌々こなす必要がなくなったため、シェフやパティシエといった職人が非常に多いのも特徴である。子供の内からプロに弟子入りできるなど、職人教育が充実しているため、世界大会でも常に強豪国となっている。
【文学】
童話のような国作りを目指していたためか童話作家が多く、小説家や詩人も数多く輩出している。ベーシックインカムが始まる前まではウィトゲンシュタイン家出身の文学者が多数を占めていた。やがて食べるための労働なくなると、平民出身の文学者が数多く輩出されるようになった。
現在では隣国であるジャポニアの影響を受け、異世界を舞台にした物語も世に出るようになっていった。以前はドラマ化が多かったが、アニメ化や漫画化も取り入れることとなっており、メルへニカでも人気を博している。電子書籍が導入されてからは紙の本は売れなくなっている。
【音楽】
古代では一部の大金持ちの王族や貴族の一家限定の嗜みであり、作曲家を雇って演奏させていた。しかし共和制になると、王室によって雇われていた作曲家たちの多くが失業したため、自営で作曲や演奏を始める者が多くなり、一般大衆にも根づいていったのである。
メルへニカ発祥の楽器が出始めたのもこの頃であり、最も有名なのはグランドピアノである。近代からはシンガーソングライターが出始めており、メルリーグでのシーズン開幕戦、オールスターゲーム、ワールドシリーズでの国歌披露は一流歌手の登竜門である。
【世界遺産】
１万年以上前から現存する王室が世界遺産の代表格であり、ロイヤルファミリーレストランは王制がなくなった現在も歴代管理者が経営しており、初代から続く王族の別荘でもある。テルマエ属州のバルネア温泉街やサワイキ属州のアウストビーチも代表である。
【祝祭日】
メルへニカにはオンオフを分ける文化が存在しないため、平日や休日という言葉が存在せず、何かしらの仕事や趣味に没頭する日である。祝日は自分で決めるものとされており、それぞれの誕生日や結婚記念日の他、建国記念日を祝う風習などは存在する。
【スポーツ】
メルへニカではベースボールが絶大な人気を誇っており、メルへニカリーグベースボールと呼ばれる世界最高峰のベースボールリーグが存在する。人口の８０％以上がベースボールファンであり、これまでに数多くのスタープレイヤーを輩出してきた。
【社会問題】
外国人や移民に対しては大変寛容であるものの、遺伝子疾患を持った一部の少数派に対しては歴史的に偏見が根強かったこともあり、このことは長い間、問題視されてきた。近年は遺伝子疾患を持った著名人が活躍していることもあり、偏見は徐々に解消傾向にある。
