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蔵品大樹のショートショートもあるオムニバス

自殺志願者専用レストラン

作者: 蔵品大樹

奇妙な世界へとどうぞ……

 私は、最悪の人生を歩んできた。会社からはクビにされ、妻とは離婚、両親は車に轢かれて死去、更に夜逃げした幼馴染の借金の連帯保証人となってしまった。

 そんな私がとある有名な自殺の名所に行く途中に起こった話である。

 私が例の場所に後少しの所で不覚にも、腹が減ってきてしまった。何か無いか周囲を見回した所すぐ横にレストランがあった。店名は『DieRestaurant(死の料理店)』と言う一風変わった名前のレストランがあった。ついでにこのレストランの事を調べてもこのレストランの事が出てこなかった。

 私は、取り敢えずレストランに入った。内装はどうやらきれいで、テーブルと椅子1つあり、壁にはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた作品、「最後の晩餐」が掛けられていた。そして、私が立ち尽くしていると、

 「いらっしゃいませ」

 と、急に声を掛けられた。

 恐らく、このレストランの店長だろうか。見た感じ他の従業員はいなかった。

 私は取り敢えず椅子に座った。

 私は次に、店長にこのお店はどんな感じなのか聞いてみた。すると、店長は、

 「ここは自殺志願者専用のレストランです。おっと、申し遅れました。どうも、店長の後藤太一です」

 と、言っていた。

 私はメニューを取ろうとしたが、何故かメニューが無かった。すると、店長は、

 「いえ、このお店には、メニューはありませんが、お客様の『心と記憶』を見て料理を作ります」

 私は驚いた。この店と店長は普通では無いことを察した。すると、店長は、

 「では、お客様の『心と記憶』を見ませてもらいます」 

 と言って、店長は、私の頭を数十秒触った。それが終わると店長は、無言で厨房へ向かった。

 しかし、厨房からは、炒める音などは無かった。私は思った。(あいつ、私の事を騙そうとしているのか?)

 私が不安になっていると、いつの間にか、店長が来ていた。そして、店長はお酒が入っているガラス製のグラスと食べ物が乗っている見るからにも高そうな皿などをを何枚か渡し、そして彼は言った。

 「お客様、こちら、サイドディッシュの海老チリ、メインディッシュのふりかけご飯、ドリンクの焼酎緑茶割り、そして、デザートの具だくさんフルーツヨーグルトでございます」

 と、それらをテーブルに置いた。

 実を言うと、これら全て、私が思っていた『最後の晩餐』である。全ての物が私の心を優しく包み込んでくれた。今まであった悲しい事が全て除去された気分であった。

 私は満足そうに料理を全てたいらげた。実際、今までこんなに美味しい料理は久々に食べた気がした。

 私は、料理を食べ終わりレジへ向かった。

 「それで、お代はいくらだい?まぁ、無一文なんだけどね。アハハハ」 

 と、何も入ってない財布を取り出すと、店長がこう返した。

 「いえ、お客様が自害して、天国へ向かってくれると私も嬉しいです。なのでお代はいりません」

 と、笑って言っていた。 

 しかし、私はその言葉に良く反応出来なった。何故なら、この料理を食べて、この人生には悪いことばかりじゃない…そう思っていた。そして、自殺をするのを辞めた。代わりにこの人生、再起しようと決心した。 

 そして、私は店長にこう言った。

 「すまない、実は私、自殺するの…辞めたんだ。皮肉にも君の料理が私の心を救ってくれた。ありがとう」

 と、私が店長にそう言うと、店長の表情が変わった。今まで、笑顔だったのが目が死んだようになり、機嫌が良かった口は一直線となった。そして、店長が口を開いた。

 「それでは……ここで働いて返してください」 

 私はポカンとした。働いて返す?何をなんだ?と、困惑していた。私は店長に何を返すのか聞いた。すると、店長が返した。

 「それは…答えられません。取りあえず働いて下さい」

 私は何を言っても無駄だと思い、店長にとある質問をした。

 「わかった。じゃあここで返す。それでどれ位働けばいいかな?こう見えて体力は結構あるよ」

 と、冗談混じりで聞いてみると、店長が返した。

 「そうですか。それでは…ここで5年間働いて下さい」

 と、言った。私はその言葉を聞いた瞬間、驚いた。5年間、ここで働くのだ。私は聞き間違いだと思い、何回も聞いた。しかし、帰ってきた言葉は『5年間』だった。 

 そして、私は思った。(仕方ない、こうなった以上、ここで働くしかない!)

 そして、私は店長に言った。

 「分かりました。ここで5年間、働きます!」

 そして、店長は笑顔となり首を縦に振った。すると、店長は私にとある事を聞いた。

 「あ、そういえば、名前は?」

 そして、私は調子が良くなり、その質問に答えた。

 「はい、私の名前は菅裕二です!」

 私が元気そうに言うと、店長が、

 「そうか、じゃあ今日はもう遅いから今日は寝なさい」

 と、どこかの倉庫に入れられた。

 次の日、店長に起こされ、コックの服装を着させられた。

 それから、数時間後、暗い顔をしたOLみたいな、若い女性が入って来た。店長がその人に接客していた。私はその姿を厨房から見ていた。私が接客された時も同じ事をしていたのを思い出した。その姿はまるで、経験者並だった。

 そう思っていると、店長が来た。だが、両手には、光った『何か』を持っていた。すると、店長はその物体をテーブルに置き、こう話した。

 「これは、お客様の『心と記憶』。これを向こうにある特製のかまどに入れる。5分経ったら、かまどの扉を開けて、中に入っている皿等をお盆に乗せてお客様のいるテーブルまで運び、皿をテーブルに置くだけだ」

 と、店長が話した後、その物体をかまどに入れてから5分後、扉を開けると本当に料理が出来ていた。しかし、料理と言っても、大きいグラスに入った水と大量の焼き芋だった。

 私はそれ等をお盆に乗せて、テーブルまで運び、それ等をテーブルに置いた。女性は静かに焼き芋を急いで食べ、水をがぶ飲みした。そして、女性はそのまま店を出た。私はあの女性がこのあと自殺すると思うと悲しくなり、そのうち涙も出ていた。すると店長がこっちに来て、背中をを叩いてくれた。そして、ハンカチを差し出してくれた。そして私は、決心した。(5年間、自殺してしまった人たちの分まで生きて、ここで働いてみせる!)と、強く思った。

 それから5年間、いろんな客が来た。潰れた会社の社長、完全に干された芸能人、存在を消そうとしている脱獄囚等…癖が弱い者から強い者が来ていた。

 ここで働いて3年目になる頃、その日はお客様が来なかった日だった。

 私は、とある事を質問した。

 「店長、何故この店を建てようと思ったんですか?」

 と、聞くと、店長は少し咳払いをした後、店長は話始めた。

 「それはな…数年前、うちの父さん、後藤貴一郎はとある料理店のオーナーで、地元で結構有名なお店で、ミシュランから三ツ星を貰うほど良い店だったんだ。だが、とあるライバル店が嫉妬心であの店の従業員がお金を横領しているというデマを流した。その年は皆デマでも信じていて、食べログでうちの店が散々叩かれて、それを知ったミシュランは、三ツ星を剥奪した。その結果、客は地元の人しか来なくなり、不人気となって店は潰れて、父さんは行方不明になった。風の噂では、ここの付近で自殺した。と、言われたが今日まで死体が見つかってないんだ。そして数年前、この店を建てたんだ。自殺志願者専用なのは、父さんが生きていることを信じたんだ」

 私は、それを聞いて、泣いてしまった。こんな過去があったなんて思いとしなかったからだ。そして私は思った。(後、2年間、ここで店長のお父さんも思いながら働こう)と感じた。

 それから2年後、私は店長に呼ばれた。

 「今日は君の最終日の仕事だ。たとえ、お客様が来なくとも、自殺した人を思い、働いてくれ」

 と言われた。

 それから、数時間後、一人のお客が来た。見た目は、ボロい服や靴、長い髭、歳は、50,60代辺りだった。

 そして、店長がその人の所へ向かうと、店長は棒立ちしていた。私がどうしたのか聞くと、私に耳打ちした。

 「あの人は私の父さんだ」

 私は冗談だと思い、もう一回聞いても、店長は首を縦に振った。

 そして、店長は唐突にその人とハグをした。二人は泣いていた。思わず私も泣いてしまった。ハグが終ると店長は、何故自分から離れたのか聞いた。すると、店長の父さんはこう話した。

 「実はな、もし店が潰れたらこうするしかなかったんだ。でも、自殺しようとしたら、何故か動物が来て、自分を慰めてくれたんだ。そして近くの山奥で生きていたんだ。それで、虫の知らせかな、久々に山を降りたら、お前のお店があって…ここに来たんだ。ごめんな、お前の気持ちを考えなくて」

 そう言って、店長の父さんは泣きながら謝っていた。

 私は、ここに居たら邪魔だと思い、店を出ようとしたら店長の父さんと店長がこう言った。

 「ありがとうございまいた。またのお越しを」

 と、言われこの店を出ていった。すると、強い光が私を包み込んだ。

 目覚めた所は店の前だった。しかし、お店は取り壊されていた。私はそこを後にした。

 街へ出て、とある家電量販店の前を通るととあるニュースがやっていた。

 「今日未明、自殺スポットとして有名となっている浪田山で二人の男性の遺体が発見されました。一人は30代でもう一人は、60代とされており、二人は親子とされており、60代の男は生前、内山町の付近で『最初で最後の晩餐』という、料理店をいとなっており…」

 私は、全てを察した。そして、それを心の中で封じた。とはいえ、店長の言っていた、『返す物』はわからなかったが、個人的には私がミシュランだったら三ツ星、いや百星くらいあげたかったくらい、良かった気がする。

 そんな私の奇妙な体験談だった。

この奇妙な物語を読んでくれてありがとうございました。

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[一言] 面白かったです。 最後も面白かったし、発想がいいと思いました。
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