続く道のり
丘を背に道を進むが、見える範囲は荒野のままである。
「今日はどこまで行けるだろうか」
独り言を呟く。一人ぼっちの旅。
今日の天気も昨日に続いて薄曇りの空だった。
気温が高くならないので快適であった。
飲まず食わずで歩き続けて2日目。
幾ら快適な天候にしても何故ここまで調子が良いのか分からない。
「まぁ、飢え死にするよりマシだし理由なんて分からないから考えるだけ無駄か。」
性格は割と能天気だった。
日が傾き始めたので歩きつつ周囲から木の枝などを集める。
昨夜のように集めるのに苦労したく無かった。
休憩できそうな場所はなかなか見当たらなかった。
昨晩は運が良かったようだ。
仕方がないので道より少し外れた所に生えている枯れ木の下を寝床にすることとした。
動物の鳴き声も風の音も聞こえない静かな夜。
昼間拾っておいた木がパチパチと音を立てる。
ふと、空を見上げるといつの間にか雲が無く満点の星空となっていた。
自分の知識には無い星空だった。
大きな星が3つ、丁度正3角形の頂点を成すように空に煌めいていた。
月ほど大きくないが、恐らくこの星の衛星と思われる。
「地球じゃ無いのか・・・?月はどこへ行ったんだ?」
自分の状況が余計に分からなくなった。
考えても答えは出なかったので寝ることにした。
翌日もその翌日も続けて歩いた。
朝日が出るころには雲がまた空を覆ってしまい、薄暗い荒野を進むこととなった。
何処までも続くかに思われた道だが、歩き始めて7日目、周辺に変化が表れ始めた。
所々草木が生えている。
不毛な地域から徐々にだが緑の茂る地域に足を踏み入れたようだ。
どうも地球では無い様だが、植物に関してはそこまで変わった生態系をしている訳では無い様だ。
昆虫や鳥などの小動物も見られるようになった。
道は徐々にだが太くなっているようだった。利用する人が増えているのだろうか?
歩き続けると遂に人工物を見つけた。
立て看板が道の真ん中に立っていた。
自分が進んできた方と逆向きに。
”この先不毛の大地に続く。立ち入るべからず。”
道理で道を1週間も歩いているのに誰とも会わないわけだ。
なんで道があるのかも怪しいが、物好きが探検でもしているのだろうか?
その道のお蔭でここまで辿り着けたので感謝するしかない。
看板の文字は見覚えのない文字だったが、内容は理解できた。
翻訳蒟蒻でも食べたのだろうか、体の調子といいどうもデタラメな状況となっている。
看板の先へと足を運んだ。