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鉄の道  作者: motig
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始まりの一歩

目が覚めた時そこは一面の荒野だった。

所々岩肌が見える乾燥した土地。

周辺を見渡したが、枯れた木が数本立っている以外に生命を感じれるものは無かった。


何故ここにいるのか、自分が誰なのか。

記憶を呼び起こそうとしたが何も浮かばなかった。



「ここはどこだろうか・・・」


ポツリと独り言を放った。


現状について確認する。

体に不調は感じず、空腹感も無い。

長袖のYシャツとジーンズ、作業靴を履いている。

周辺には人の痕跡どころか生き物の痕跡が無い。


(何か手掛かりを探すか)


このままここに居ても如何にかなるわけではない。

そう思い足を動かした。


砂と岩に覆われた大地だが、標高差はあまりなく比較的歩きやすい。

空は薄曇りの為、太陽が薄っすらと見える程度だ。

今はどうやら朝らしい。

方角を確認する方法が太陽しか無いため、この状況はありがたい。


「まぁ、方角が分かったところでどっちに行けば良いかなんて分からないんだけどね」

自嘲的に呟いた。


目的地は見当たらないが、現在の太陽の位置に向かって進み始めた。

恐らく東向きだろう。そう思いながら足を進めた。


3時間程度は歩いただろうか、太陽が真上に来た。

歩きやすくても荒れた土地、精々8km程度移動しただろうか。

沢山の何かが移動した痕を見つけた。

南西~北東方向に一直線に足跡のような痕跡が続いている。

人なのか動物なのか分からないが、道の可能性が高い。

私は北東の方向へと痕跡を頼りに歩みを進めた。


辺りが暗くなり始めたころ、小高い丘へと至った。

痕跡は丘を迂回するように右回りに繋がっている。

丘の麓を少し進むと丘が削れた箇所があり、広場のようになっていた。

岩が重なり屋根のようになっている所があり、火を焚いた痕跡が残っていた。


「やっぱり人の道か、もしかしたら誰かに出会えるかも知れないな」


日も暮れてきたので今日はここで野宿する事とした。


一日歩いて疲労がたまっているが、不思議と空腹を感じない。

夜になると冷え込みそうだ。

幸いなことにここで野営した人が忘れていった火打石を見つけることができた。

夜に備えて周囲から燃えそうなものを集める事にした。

旅人が利用するのか周囲に枯れ木などは生えていなかった。燃やされてしまったのだろうか?

道を外れて丘の方に探しに向かった。


元はそこそこ木が生えていた土地のようで丘の斜面には木の枝がいくらかあった。

「良かった、これでなんとか暖は取れそうだ。」

そう呟き持てる限りの木の枝を先ほどの広場へと戻った。


翌朝。


昨晩は無事に火をおこす事が出来、寒さを凌ぐことができた。

どうも季節は夏に近いらしい。砂漠の夜は寒いと聞いたが、ここの荒野は乾燥はしているがそこまで冷え込まなかった。


昨日一日歩いて人の気配のする所まで来ることが出来た。

しかし違和感を覚える。


「なんで腹が空かないのか・・・?」


体をこれだけ動かしたのに何故か空腹にならない。

均されていない荒れた土地を一日歩いたのに筋肉痛にもなっていない。


「過去を思い出せない割には、火打石の使い方やら何を着ているか分かるのは何故なんだ・・・?」


聞ける相手も居なければ調べる方法も無かった。


何もしないでうだうだしているだけでは時間の無駄なので、また道を進むことにした。

火打石をズボンのポケットに入れ、一晩明かした広場に別れを告げた。


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