ゲームを応援してくれる家族の存在
授業が終わり、桜の家でゲーム機をもらって家に着いたら既に6時だった
「え、もうこんな時間なの?どうしよ、ご飯出来てるのかな?」
独り言を呟きながらリビングに向かうと中から話し合ってる声がした。
「ただいま、お父さん、お母さん」
「おかえり、棗」
「おかえりなさい、棗」
初めにおかえりと言ったのが母の秋で、おかえりなさいと言ったのが父の修斗だ。
この2人は私の両親だけど本当の両親ではない、私の親戚の夫婦だ。
何故こうして親戚の家に帰ってるのかというと、それは両親が私が小さい頃に亡くなっているからだ。
亡くなった原因は不明で、今でもわかっていない。
その時一緒にいたはずの私でさえ記憶が曖昧すぎて思い出せない。
その両親がなくなった時に引き取ってくれたのがこの2人だ。
父の修斗は神社である狐ヶ崎神社の神主である。
母の秋はそれをサポートしている形である。
私は見るからに忙しいこの2人の手伝いを巫女さんとしてしている。学友が来た時はもちろん恥ずかしいが今ではもう慣れっこだ。
「お母さん、ご飯できてる?桜が私に言うより先にお母さん達に言ってたらしいけどゲームの公式サービス開始日なの」
「えぇ、できてるわよ。さぁ手を洗って来なさい、みんなで食べましょう」
「は~い」
抑揚の全くない返事を返して、水場に行きせっせと手を洗いにかかる。
季節は既に冬、かぜやインフルエンザが流行ってくる時期である。
だから念には念を入れてゴシゴシとまではいかないが綺麗に洗う。
「洗ってきたよ~」
「じゃあ頂きましょうか」
「うん」
お母さんの料理はいつも美味しく、私の胃袋を既に掴んでしまっている。自分自身、料理はできるが理想の味を知ってしまっていると、将来簡単にホームシックになってしまいそうで怖い。
ちなみに今日のご飯はカレーライスだ、家庭によって味は変わってくるだろうが、うちは中辛だ。
何故辛口ではないのかというと父が関係している。
私と母は辛いものに対しめっぽう強いのに対し、父だけはとてつもなく弱い。
本当は中辛でもきついが母が蜂蜜やリンゴを入れたりしているおかげで食べられている。
「今日も美味しいよ、母さん」
「ありがとね、やっぱりお礼を言われるのはいつになっても嬉しいわね」
「ママの料理はいつでも美味しいけど、辛いのだけは勘弁してくれ」
父がカレーを食べる時に決まって言うこのセリフは何度聴いても笑ってしまうし、完全に父が母の尻に敷かれてしまっていることが分かってしまう。
「それで、棗はゲーム内でどんなことをするのか決めたの?」
「一応ね、とりあえず自分の得意な武器を使ってみることにするよ」
「てことはあれか、あんまりやり過ぎないようにね」
「ゲームにやりすぎるも何もないと思うけど、まぁ気をつけるよ」
「そうしなさい」
「ご馳走様、食器は自分の分だけでも洗っておくよ」
「棗、時間をみなさい。もう55分よ、私がやっておくから今まで頑張ってた分、存分に遊んできなさい。」
「あ、ほんとだ。教えてくれてありがとう、じゃあ食器はここに置いておくね」
私は急いで自室に行く。先程貰ったゲーム機の包装を丁寧に剥がし本体を手に取る。
重さは2キロ程でなかなかに重たい。しかし、ベットに横たわりながらプレイする関係上それは全く苦にならない。
残り1分、初めてのMMOにドキドキしながらもワクワクが止まらず鼓動がどんどん早くなる。
1分、たったそれだけの時間がこれ程までに長く感じたことはなかった。
そう思いながら始まりの刻を待つ。
午後7時を時計がさした。
私はこの瞬間を待っていたと言わんばかりにゲーム機を起動させるための言葉を言う。
「FDO、START」