実家の詩
実家に思いを馳せながら読んでください
そうです、母さん
もう乗り換えにも慣れましたし
人混みに頭を抱えません
途中電波の届かないところが数箇所あるのも、文庫本の一冊をこうして手元に隠して於けば良いのです
すると意外と快適な時間になったりするのですよ
ところで、母さん
私、最近、感じません
家を去る時襲い来る
一抹拭えぬあの不安
また会う日までと伝える辛さ
母さんに包まれる愛
軒並み
感じないのです
いつからでしょう
この心は薄々と、気づいているのです
私というのが変わってしまったのだな、と。
何も変わらないでいるのに
これは私が変わったのだなと
母さん、怖いです
私の心が私から抜け出して、私の輪郭をなぞるのです
そしてその時、私の中から郷愁の念が消えるのです
あぁ、母さん、怖いです
何時かこの故郷すら、私の帰る所ではありませんと
そう思う日が来るのでしょう
慣れに慣れた、私が心に浮かびます
あぁ、あぁ、母さん、ごめんなさい
その時私は、きっと母さんの名を憶えていないのでしょうか
こんにちは、コーノです。シェアハウスに少し憧れています。