『懲罰』
乾いた廊下が続く中で、革靴の音が響く。
足が自由になったのは良いのだが、未だに腕だけが縛られている。
その縛られた場所を掴んで、銃を背中に突き付ける彼の足音が私と重なる。
「……どうしたんだい?霧華」
「……」
「無視する事は無いだろう?せっかく狭苦しい牢屋から出してあげたんだから」
「閉じ込めた人が何言ってるの?」
「閉じ込めたのがボクだと思ってるの?嫌だなぁ、疑うなんて」
「……」
十中八九、彼が私を閉じ込めたのは間違い無いだろう。
彼は私を毛嫌いしているようだが、特に理由を知っている訳ではない。
だがしかし、どうして毛嫌いされているのかがいまいち分からない。
「そういえば、彼女がキミを心配していたね」
「……彼女?」
「マリア・スカーレットだっけ?キミが夜な夜な拾った子だね。まぁ拾った事をどうこう言うつもりは無いけれど、彼女は面白いねぇ。少し脅しただけで、ボクの言いなりになっちゃうんだから」
「マリアに何かしたの?」
私は少し目を細めて、後ろに居る彼に殺気を送る。
だが彼はヘラヘラと笑みを浮かべながら、言葉を続けた。
「――何もしてないさ。ただ脅しただけだ。もしおかしな行動をすれば、キミが慕っているお姉様は殺してあげるよって言っただけさ。従順な子犬みたいで、本当に面白かったよ」
「……本当に性格が悪いね」
「嫌だなぁ、褒めないでくれよ」
「別に褒めてない」
そう言いながら、自分の腕を確認する。
縛られているから分かり辛いが、筋肉としっかり連動している。
だが縛られている事もあり、変に関節部分に痛みがある。
「……さて、これからキミには罰を受けてもらう予定だよ」
「罰?……私、何かしたの?」
「あぁ、したよ?覚えていないのかい?」
「……」
覚えていない。その問い掛けに疑問が浮かぶ。
だが何かが遭ったからこそ、私はこうして罰を受けている。
これがあの人の望みだというのなら、決定したという事なら従うだけだ。
私はそう。……奴隷なのだから。
――ジャキッ。
ある部屋に入った瞬間、彼が縄を切って私の背中を押した。
フラフラとしながら部屋の奥へと入った私は、彼を見据える為に振り返る。
そこには、ナイフで手元で遊ばせている姿が目に入った。
「さて、覚えていない。というのはご愁傷様としか言いようが無いね。けれど規則は規則だからね。悪く思わないでくれよ、霧華」
「問題無い。私が何かしたのなら、罰は受ける」
「よろしい。では服を脱ぎな?」
そう言って服を脱いだ私の前で、彼はニヤリと口角を上げたのだった――。




