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【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第六章【血に染まる少女】
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『スイッチ』

 「――っ、殺すっ!」

 「お姉さまっ!?」


 片腕を失っている中で、レンを睨む霧華は叫んだ。

痛みに耐えながらギリっと奥歯を噛む霧華を見て、マリアもまた声を上げる。

だが無我夢中となっている状態では、彼女にマリアの声は届いていなかった。


 「へぇ、まだ立ってられるのか。流石」

 「ぐっ……このっ!」

 

 片腕かを失いつつも、もう片方の腕でナイフを振るう。

だが振るったナイフをレンは回避し、ニヤリと笑みを浮かべて言った。


 「あぁ、ダメダメだ。今のお前じゃオレには勝てねぇぞ?」

 「……っ!!」


 回避された瞬間に回し蹴りを放ち、それも回避されても追撃を放つ霧華。

格闘のコンボを繋ぎ続けて、身体全体を使ってレンへと格闘を放つ。

だが身体を振り回す事によって、霧華の足元には赤い血が撒き散らされる。


 「お姉さまっ、落ち着いて下さい!そのまま戦えば、大量出血で死んでしまいますよ!!」

 

 縛られた状態であっても、声を上げてマリアは霧華へと伝えようとする。

だがしかし、霧華には既にスイッチが入っていた事をマリアは知らない。

スイッチとはつまり、霧華の中に眠る『衝動』と呼べるたぐいのモノだ。


 『……よくも、私たちの腕をやってくれましたわね』


 そしてそれは、霧華の中に眠る彼女にも影響を及ぼしていた。

その衝動を抑える術を持たない霧華にとって、それは精神的な鍵という意味を持つ。

やがてその鍵を扉へと差し込み、霧華は目を細めて扉の中へと足を入れるのであった。


 『さぁ、始めましょうか。私のご主人様♪』

 「……」

 『私の邪魔をする者は全て――』


 怒りに任せていた霧華だったが、包んでいた殺気を消し去った。

だが彼女の様子は一変しており、ユラユラと揺れながらも静かに立っている。

細められた目を空へと向けられ、敵であるレンへと向けられていないという状態だ。


 「あぁ?どうしたよ。腕を斬り落とされて気でも狂ったか?」

 「…………」


 ボーっとたたずむ霧華だったが、やがてグラリと身体を揺らして動き出す。

空気を切った音が耳に響いたレンは、何をされたのかを理解出来なかった。

だが数秒後、自分の身体の一部に変化がある事に気が付いた……。

耳元から首へと流れる生暖かいモノ。それを指を確かめた瞬間、何をされたか理解した。


 「ナイフ、あの一瞬で投げたのか。へぇ、まだやれるとか本当に流石だなぁ。(ナイフが見えなかった。一体、どんなトリックを使いやがった?)」


 そんな事を思っていたレンだったが、そう考えている間に霧華は再び動き出したのだった。

小さく、ブツブツと呟きながら――。


 「私の邪魔する者。全て、排除……」

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