表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第五章【血に飢えた少女②】
62/115

『近付く闇』

 『ここが日本か。……久し振りに来たけれど、まずは彼女に挨拶しに行かないと』


 コンクリートを熱する程に照り付ける太陽の下。

そんな熱線を浴びながら、その人物は小さく笑みを浮かべてそう言った。

人混み中を進んで行きながら、賑わう街の中を探検している様子にも見える。

その道中、その人物は路地裏で集まっている不良たちを見つけた。


 『あの、ちょっと良いですか?道を聞きたいんですけど』

 『あぁ?なんだガキ、ここはお前のようなガキが来る場所じゃねぇんだ。さっさと去った方が身の為だぞ』

 

 図体の大きな不良が、早々にその人物を見てそう言った。

ここは危険だから近付くな。そう言っている様子から、根は良い印象を受ける。

だがしかし、そんな事を告げられたその人物は口角を上げて言った。


 『道を教えてくれないかな?これでもオレ、急いでるんだよね』

 『なら人に物を頼む礼儀を学んで来いや、あぁっ!』

 『あぁ、初めて襟を掴まれたよ。これが日本で言う不良がやる事なのかな?あはは、良いじゃん。合格点をあげるよ。……だけど』


 そう呟いた瞬間、掴み掛かった不良の腕が吹き飛んだ。

何をされたのかを理解するまでに数秒、そして自分の状態に気付くまでに数秒。

不良は自分の腕が、その人物に切断された事を理解するまでに数十秒掛かったのである。


 『お、俺の腕がぁぁぁぁ、あぐっ!?』

 『うるさいな。オレに道を教えてくれないのなら、それ相応の罰があっても可笑しくないでしょ。孤児院に居た人が言ってたよ?人間が親切心を使おうとしないのは、その相手に対して親切にしようと思ってないからだってさ。なら、どうすればその親切心を引き出せると思う?』

 『な、何を訳の分からない事を言ってやがるっ、このやろうっ!!!』

 

 腕を切断された不良の仲間が、声を上げながらその人物を掴もうとした。

だがしかし、それは容易く回避されてしまい呆気なく地面を転がってしまう。

その様子を見下すように見るその人物は、ニヤリを笑みを浮かべながら言葉を続けた。


 『――答えは簡単だ。親切心を出したくなる程の恐怖を与えれば良いだけ。人間は恐怖し、自分の命の危険を理解すればする程、徐々に正直になっていくものらしいよ。ならオレは今、その親切心を引き出す手伝いをしてる最中って訳だ。これで意味が伝わったかな?』

 『……っ、狂ってやがる』

 『じゃあもう一度聞くよ?道を教えて欲しいのだけど、素直に教えてくれる気はあるかな?』

 『――――――!!!!』

 『そっか。残念だよ、さようなら』


 その夜、そこは殺人現場として各方面で報道された。

血に染まった路地裏は闇が深く、そしてその殺し方は無惨と言える程に残酷なものだった。

それをニュースで見ていた彼女は、目を疑うような様子で口を開くのであった――。


 「どうして?――っ!?」

 「お姉さま、どうかなされたのですか?」

 「……っ、ぐっ……頭がっ、痛いっ!」

 「お姉さま?!大丈夫ですか、お姉さまっ!お姉さまっっっ!!」

本日もご拝読、感謝致します。

この作品では、滅多に書く事の無い後書きを失礼致します。

えー、まぁ年号が変更されたのでその挨拶も兼ねてと思っております。


これからも、【奴隷少女は、笑わない】を宜しくお願いします。

引き続き読んで下さる事をお祈り申し上げます。それでは、またの更新で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ