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【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第五章【血に飢えた少女②】
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『放課後の約束』

 「レイフォードさん、今日の放課後は空いてますか?」

 「今日の?……何で?」


 彼女の言葉を聞いた私は、何の用事があるのかと首を傾げてそう言った。

普通に考えるのであれば、この間の続きという線が濃厚と考えるのが自然だ。

だがしかし、彼女の考えてる事を理解出来ていない段階でそれを思うのは早計だ。


 「キリカさんの部屋で、話したいなぁと思ったんですけど……どうですか?」

 「私の部屋?……えっと」

 「同居人が居る事は知ってますよ。ただあの子とも仲良く出来たらなぁって思って」

 「ふうん……じゃあ、どうするか。後でマリアに聞いてみる」

 「うん!ありがと!」


 彼女は、ぱぁっと輝いた笑顔を浮かべてそう言った。

その明るい表情は私には縁の無い表情で、私が一度もした事の無い表情だ。

喜怒哀楽が彼女には豊富だと思うが、何がそこまで彼女を突き動かしているのかが不明である。

良く分からないし、どうして笑うのかも分からない。何も、私は知らない。


 「キリカさん?」

 「ん?……何?」

 「いや、ボーっとしてたから。具合が悪いなら、保健室で仮眠を取らせてもらったら?」

 「……平気。特に体調には問題は見受けられてない」

 「そうですか。なら良いですけど……」

 

 じっとこちらを覗き込んで来るが、彼女は小動物か何かだろうか。

そんな眼差しを向けられても、正直に言って困るだけなのだが……。

まぁ心配してるのかどうかは定かではないが、その気持ちだけは受け取っておこう。


 「……あ……ありがとう?」

 「っ……はい!」


 何がそんなに嬉しいのかと問いたいが、教室に辿り着いたので自分の席へと向かう。

放課後に彼女との約束が出来た事を伝える為、私は机の中でマリアへとメールを作成する。

やがて文章を簡潔に打ち込んだ後、溜息を吐きながら送信ボタンをタップした。

 

 『放課後。柊美久が、部屋に来る。構わない?』

 

 簡潔且つ、今後の事も考えてこんな風に情報共有をした方が良いだろう。

そう思った判断から送信したが、マリアはどう思っただろうか。

突然に送信されてきたこのメールを見て、マリアは何を考えて何を思うのだろうか。

人の考える事、思う事、その心の中を知る事は私には無理な話だろう。


 「……」


 やがて携帯がポケットの中で震え、メールが返って来た事を知らせてくれる。

それを手に取って、マリアは何を判断したのかと確認してみる。

だがそこには、簡潔且つ単刀直入にマリアの気持ちが書かれていたのであった――。


 『嫌です』

 「……(そう)」

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