表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第五章【血に飢えた少女②】
53/115

『たったひとり』

 「お姉さま?……朝ですよ?早くしないと遅刻しちゃいますよ?」

 「んん~……あと、五分」

 「ベタベタな寝言をありがとうございます。そんなお姉さまをもっと堪能したい所ですが、本日は決行すべき案件があります。さ、起きて下さい」


 無理矢理に毛布を剥ぎ取られて、私の顔には太陽の日差しが直撃する。

それに耐えられなくなった私は、布団のシーツを外して自分を包み込んだ。


 「あ、お姉さま。そんな事をされたら、シーツがぐしゃぐしゃになっちゃいます!今日はどうしたんですか?偉くご機嫌が斜めのようですが……ま、まさか……また柊美久に何かされたのですか!?」

 「ええ……何でそうなる」

 「違うのですか?」

 「……さぁ?」


 マリアに質問されて考えてみたが、自分が何故こんなに起きるのが嫌なのかが不明だ。

曖昧なのか、それとも本当に何も分からないのか。恐らくは後者だと思われるこの感覚。

その感覚を良い事に、私はそれを利用する事にした。特には理由は無い。

ただ考えるのが面倒という事を思った結果である。


 「マリア、朝ごはんは?」

 「勿論、出来ています!さぁさ、お姉さま!こちらへ♪」

 「そうなんだ。何でこんなに多いの?」


 テーブルに大きく広げられた料理の数々。

それは朝から食べられるようなボリュームではない事を分かっているのだろうか。

朝食でハンバーグまで食べる人は居るかもしれないが、私は見ただけで胃もたれしてしまう。


 「ごめんマリア。見てるだけでお腹いっぱい」

 「えぇ!?お、お姉さま?ま、まさかこのまま登校するつもりですか?」

 「だって、多い」

 「うぐっ……た、食べてくれないのですか?お姉さまぁ~」


 泣き崩れるようにして、着替え終わった服にしがみ付くマリア。

鬱陶しいと思った事は言わないで置きつつ、私は溜息混じりに皿に乗っているパンを掴んだ。


 「……はむ」

 「お、お姉さまっ」

 「ふぁふぃひふぃふ(先に行く)」

 「はいっ!お姉さまは、やっぱり優しいです!」


 ぱあっと輝く笑顔を真っ直ぐに向けられ、私は逃げるように寮の外へと出向いた。

周囲には同じ制服を着た女子生徒が視界に入り、自分もその中の一人なのかと考えてしまう。


 「あむあむ……ん、少し冷めてる」


 そんな事を呟きながら、同じ制服を来た生徒たちを眺めて歩く。

この中で私の正体に気付き、それを暴こうとする生徒は何人居るだろうか。

全く気付かず、私を同じ学び舎に通うただの生徒だと思う者が殆どだろう。


 「あ、おはよう!レイフォードさん!」

 「……おはよう」


 だが彼女……柊美久だけは、私という存在を知っても関わろうとする人間だった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ