『自爆少女』
投げた手榴弾は男の頭上へと投げられ、少女はそれを囮に男との距離を詰めた。
その詰めた途端、爆発させるか接近戦で決めるかという事を頭の中で思案していた。
だがしかし、距離を詰めた直後だ。男は前へ出た彼女に合わせ、男も前へと距離を詰めたのである。
『遅ぇ、遅過ぎるぜ、糞ガキぃ~』
「がはっ……」
カンカンと地面に手榴弾が落ちたが、ピンを外していなかった事を忘れていたのだろう。
少女は爆発しない手榴弾を眺め、男の様子を伺っている。
身体全体に走る痛みを抑えながら、彼女は左右に揺れて立ち上がる。
『へぇ、立ち上がるのか。なかなかタフじゃねぇか』
「はぁ、はぁ……動かないで」
カチャリと撃鉄を落とし、男に向かって銃を構える少女。
その少女の様子を見た男は口角を上げ、楽しげに口を開くのであった。
恐怖した様子も無く、銃に臆す様子も無く、ただいつも通りのように振舞ったのである。
『八ッ!そんなんで俺を止めようとか、ふざけてるのか!?そりゃ、撃ってみろ!ほらほらほら!』
「ぐっ……止まって!止まらないと本当に撃つ」
『だから、撃ってみろっての!!!!糞ガキがぁ~!!』
「ぐぅっ!?」
首を絞められ、体が宙に浮かぶ感覚に襲われる彼女。
それもそのはずだ。男の手が隙間なく首を入っており、力の限りで首を絞められているのだ。
声も出す事も、身動きを取る事も困難になった彼女。だがしかし、少女は小さく笑ったのである。
「フフフ……」
『なんだ、痛みで可笑しくなったか?これだからガキは胸糞悪りぃんだよ。さっさとくたばれ』
「ぐっ……私は、ちゃんと……」
『あ?』
掠れた声で出しながら、首の絞めつけ状態のまま口を開く。
小さい笑みを浮かべた少女を見て、男は微かに身震いをした。
何故なら、少女が纏った空気によって幻覚を視てしまったからである。
手から腕へ、腕から顔面へと向かってくるそれを視たのである。
「忠告、した。動かないで、って!」
――カチン。
何かが外れる音が響き、男はその宙に浮くそれを見た。
それは地面へとゆっくり落ち、少女と男の間で主張をしていた。
『テ、テメェ、いつの間にっ!?』
「もう、遅いよ……」
『く、クソがっ!!!!!』
ハッとした男は、少女から咄嗟に手を離した。
だがしかし、重力は何処でも下へと向かっている。
人間や物は、その重力に逆らう事は出来ない。
「――逃が、さないっ」
『ぐっ、このガキ!離しやがれっ!!!』
あと数秒で地面に当たるという場面で、逃げようとした男の服を少女は掴んだ。
そして全体重を男を掴んだ手に乗せて、男の動きを封じた結果だった。
地面へと当たった手榴弾は、火薬が充満した事によってタイムリミットを迎えた。
少女と男は、その部屋の中で爆煙に飲み込まれるのであった――。




