『少女の行く先』
彼女の行動は大胆の中には、かなりの慎重さを含まれている事が見て取れる。
部屋からの脱出を含めて、鍵を開けるまでの一連の動きは繋がっている様子に思えた。
私は、良い玩具を手に入れたものだと自負している最中だ。
『……くっ、この!ちょこまかと!!』
おやおや、大の大人が銃の扱いに戸惑っている。
その目の前に現れた少女は、なかなかの動きだと褒め称えたい気分である……――。
「……――おじさん、退いて」
『このガキッ!!』
思い切り振り下ろされる鉄棒は、横に避けた私を通り過ぎて地面へと当たる。
金属音と鈍い音が同時に響き、目の前の男の人は痺れた手を押さえる。
その瞬間を狙っていた私は、ナイフで牽制し転ばせた。それと同時に馬乗りになり、そのまま……。
『ぐ、ぐわああああああああっっ!!!!!!』
「……!」
男の喉元を狙って、思い切りナイフに全体重を上乗せした。
噴水のように溢れる赤い滴を浴びながら、私は反撃されないように二度三度と体重を乗せる。
やがて悲鳴のような断末魔が聞こえなくなり、私はゆっくりと突き刺した自分の状況を確認した。
「……はぁ……まずは一人」
赤く染まった頬からそれを拭き取り、突き刺したナイフはそのままにして男から降りた。
男の持っていた道具から、銃の弾薬と水。それとナイフを回収した。これでまだ戦える。
「あとはこの血、どうしようかな?」
周囲を確認しながら、自分の服へ付着した血液をどうするかを思案する。
候補はあるのだが、どうも納得のいく答えが見当たらない。
「この水で、少し濡らしておけば良いかな。あとは絞るだけ絞って……また着れば良いよね」
一旦落ち着ける場所を探し出し、私は汚れた服を軽く水で洗う。
ついでに顔も洗いながら、次の事を考えておくとしよう。
そう思っていた私だったが、背後から近付く気配を察知した。
やがてそれは私の姿を影で覆い、逃げ場を無くすようにして入り口に立っていた。
「だれ?」
『誰でも良いだろう?これから死ぬんだからさぁ!!!フンッ』
振り下ろされた武器を避けた私は、近くに置いておいた銃を男へと向ける。
引き金を引いた瞬間、体勢が不十分な所為で反動を抑えられなかったのだろう。
身体が後方へとノックバックしてしまった。だがそれが運が良かった。
『ぐおっ……お、うぅぅぅ……』
男はゆっくりと倒れていき、私の目の前でうつ伏せとなったのである。
どうなったかを確認すると、どうやら男の額に着弾したらしい。間一髪である。
「人の水浴び中に来るなんて、変態」
私は倒れている男を睨みながら、そう小さく呟くのであった――。




