表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第四章【血に飢えた少女】
44/115

『脱出ゲーム』

 『へぇ、このお嬢ちゃんがおやっさんの言ってた奴か』

 『……普通の子供じゃねぇか。大丈夫なのかよ?』


 彼らはトランプをしながら、ヘラヘラと笑ってそんな事を言った。

確実で煽りだろうと感じたが、私は何とも思わなかった。

正確には、何とも思う余裕が無かったといえば良いだろうか。


 「…………」


 誰一人として、信用が出来そうな人間が居ない。

だからこそ、私は彼らの雰囲気から恐怖を感じていた。

だが……。


 「……?」


 彼は何も言わずに私の頭に手を乗せた。

そして、ニッコリといつもの優しい笑みを浮かべたのである。

その笑みを見た瞬間、私は感じていた恐怖心が和らいでいった。


 「……」

 『お嬢ちゃんの部屋は一番奥だ。この部屋を自由に使って良いが、勝手な出入りは禁止だ。良いな?』

 「はい……」


 案内された部屋は、孤児院で案内された部屋に良く似ている。

薄暗く、微かに汚れたベッドにコンクリートに囲まれた四角い部屋。

まるで囚人を収容していたのかと思う程、狭くて不気味な部屋だ。


 「……ここが、私の部屋」


 床に触れると、ザラザラとした感触で手の平に広がる。

ベッドのシーツは少し古くて、けれど寝られる事は無いが汚れている。

男しか居ないからなのか、掃除をしている風でも無い。


 「……少し、掃除しようかな」

 

 そんな事を思いながら、私はふと日用品だと渡されたバッグが視界に入る。

このバッグは、ここでの生活品が入っているとあの人に渡された物だ。

そのバッグの中身を見てみると、私は目を見開いて手が止まってしまった。

 

 「これって……!」


 バッグの中に入っていたのは、無線機が一個とナイフが一本、手榴弾が三つ、銃が一丁。

そして非常食と思われる物が、数個とペットボトルに入った水が二本。

これで数日を過ごせという事なのかと思ったが、私の予想はその日の夜に裏切られる。


 ――ブ……ブッ、ブー……ザー、ザー……。

時計がこの部屋には存在しないが、恐らく真夜中となった時間帯だろう。

その誰もが寝静まる時間帯で、バッグの中から念の為に出して置いた無線機から音が漏れる。


 『……皆の者、おはよう。起きている者、寝ている者を含めて参加してもらう』

 「この声って、あの人の?」

 『その前に軽くだが、ルールを説明しようと思う。皆、部屋の中には換気の為に用意している排気口があるはずだ。確認して欲しい』

 「……あれかな?」


 部屋を観察すると、天井に一つだけポツンと存在している排気口。


 『見つけただろうか?……ではこれより、ゲームを開始する』

 「ゲーム……?」


 そう言われた瞬間、排気口からシューと音を立てて煙が入り込む。

その煙は薄緑色で、一目で身体に有害だという事を理解したのだった――。


 『今から一時間以内にその部屋から脱出してもらいたい。では健闘を祈る』

 「っ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ