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【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第三章【籠の中の小さな鳥は】
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『無邪気な拒否』

 「お姉さま、こういうのはどうでしょう?」

 

 明るい笑顔に手を引かれたまま、ヒラヒラした服を見せ付けられる。

自分に似合わないと思いながら、霧華は渡された服を眺める。


 「……これを着るの?」

 「はい!お姉さまに似合うと思いますよ!さぁさ、ぜひ試着を!」

 「んん……」


 背中を押されて、無理矢理に試着室へと入れられる。

閉められたカーテンの向こう側で、鼻歌混じりに待っている彼女。

彼女に渡された服に袖を通し、閉められたカーテンを開ける。


 「わぁ、凄くお似合いですよ!流石は私のお姉さま♪」

 「これ、動き辛い……絶対殺しづらい」

 「お姉さま、オシャレの服を仕事場に着ていくつもりですか?」

 「だめ?」


 首を傾げてそう言う霧華に対し、マリアは困ったような表情を浮かべる。

いつもゴシック系統の服を着たりしている霧華だが、それは自分が選んだ訳ではない。

彼女のマスターであるジェシカが、趣味で着せているだけのものだ。

用意された服はあっても、自分で購入した事はないのである。


 「お姉さま、次はこの服はどうでしょう?」

 「またヒラヒラしてる。マリアは着ないの?」

 「私はお姉さまの私服の選別中です。その為にお誘いしたのですから♪」

 「お誘い?無理矢理じゃなかった?」

 「……さ、細かい事は気にしないでドンドン着て行きましょう!」

 「あ、誤魔化した」


 ヒラヒラとフリルの付いた服。夏に合わせた涼しげな服。ボーイッシュな服。

それぞれを試着させられ、霧華は溜息を吐きながら店の外へと出る。

太陽の日差しが当たった瞬間、冷房の効いた部屋とは違う温度でクラッと身体が揺れる。


 「あれ?キリカさん……?」

 「――あぁ、えっと、柊美久だったっけ?」


 霧華は額を抑えながら、偶然現れた彼女の方に視線を向ける。

向ける視線は気怠い様子で、面倒なのにも遭ったとも霧華は思うのであった。


 「お姉さま、お会計終わりました!では次に行きましょう?――お友達ですか?」

 「……私に友達はいない」

 「え、あ、ちょっと……お姉さま、先に行かないで下さい!」

 「…………あ、あの」

  

 立ち去った霧華の後ろを着いていくマリアは、美久に呼び止められて足を止める。

振り返るマリアは、笑みを浮かべて答えるのだった。


 「何ですか?」

 「あのレイフォードさんの妹さん、何ですか?」

 「はい。私とお姉さまは姉妹として、共に暮らしていますよ」

 「じゃあもし、図々しいかもしれないけど……お姉さんと友達になりたいって、伝えてはもらえないかな?」

 「ん~、それは出来ません」

 「ど、どうして?」


 美久がそう言った瞬間、マリアは笑顔のまま言うのだった。

冷たく、そして突き刺すように――。


 「……あなたは、お姉さまには相応しくないですから♪」

 「マリア?行くよ」

 「はぁーい、お姉さま!ではこれで……さようなら、柊美久さん。ふふふ♪」


 

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