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【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
第三章【籠の中の小さな鳥は】
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『少女、対面す』

 「……っ!」

 「予備動作が大きい。それじゃ、駄目」

 「きゃっ!?」


 小さく悲鳴が漏れ、彼女は地面に尻餅をつく。

これは今後、必要になるかもしれないと頼まれた事だ。

最初は反対したけれど、彼女が望むというのなら仕方の無い事ではある。


 「そんなんじゃ、役に立たない。続ける?」

 「続けます。お姉さまの役に立ちたいので、まだ……お願いします」

 「分かった。それじゃ……行くよ」

 「――っ!?」


 地面に大の字になって、呼吸を整える彼女。

その様子はかつての私に似ていて、それでいて全く似ていないと思う。

私は私であり、彼女は彼女でしかない。所詮はそういう事だ。

所詮はそういう事で、結局は私は全く違う人種だという事が分かってしまう。


 「お姉さま、ありがとうございました。また明日も、お願いしても良いですか?」

 「……任務に支障が出なければ、構わない」

 「それはもちろんです!それでは学園へ向かいましょう。朝食に致しますね。お姉さまは先に汗を流しては如何ですか?」

 「そうする。これで制服は、息苦しい」

 「それでは、ごゆっくりと」


 彼女に見送られて、私は浴室へと入る。

全寮制という話だったが、この時間帯では起きてる者も見当たらない。

日本というのは、随分とのんびりしている国なのだなと思う程だ。

まぁ人によってはという個人差はあるだろうが、だがそれでも平和過ぎる。

これではあの国に居た私が、私の価値観が惨めに感じてしまう。


 「お姉さま?食べないのですか?」

 「…………食べてる。だから安心していい」

 「そうですか。ところで今回のターゲットなのですが、この方だそうです」


 そう言いながら、一枚の写真を取り出す彼女。

彼女が作った朝食を食しながら、私はその写真に写っている人物を眺める。


 「――この子が今回の標的」

 「何か気になる事がありますか?お姉さま」

 「いや、とっとと終わらせて帰ろう。見た所、簡単そうな相手」

 「そうですねぇ。お姉さまが手を出す事は、必要無いと思いますけど」

 「必要無いのなら、私に依頼は来ない。必要だから来る、それだけ」


 私の言葉に嘘は無い。

元々、私を必要とする者は居なかった。

だからあの人に会ったあの日から、私の人生は大きく変わった。


 「…………」

 「それではお姉さまっ、学園へ向かいましょう!」

 「引っ張らなくても行く」


 小さな背中を眺めながら、私は通う事になっている学園へ辿り着く。

もう挨拶は済ませているし、任務以外の事には極力干渉しない。

それが暗殺業界の掟であり、変えようのない鉄則である。

そう思っていたのだが、私はその学園の授業で標的と遭遇したのであった――。


 「柊美久です。お互いに頑張りましょうね!」

 「キリカ・レイフォード。よろしく」

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