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【完結】奴隷少女は、笑わない  作者: 三城谷
最終章【奴隷少女は、笑わない】
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『教育係』

 幼い頃、未だに彼女がまだこの世界に足を踏み入れた頃。

少年は、彼女の事を受け入れ難い存在だと認識していた事がある。

少年の名は無く、だが仕事をする上で名前が必要だった少年はゴーストと名乗った。


 「……貴方には、この仕事をお願いしたいですわ」

 「汽車内での暗殺、ですか。これをボクに?」

 「ええ、そうですわ。貴方にしか出来ない仕事だと思うのだけど……どうかしら?」


 ゴーストを雇った女性、名前はジェシカ。

華麗なドレスで身を包み、薄ら笑みを浮かべる彼女。

そんな彼女の後ろで、部屋の隅で体育座りで無口となっている少女。


 ――その少女が、霧華である。


 当時の霧華は今よりも無愛想であり、ボロボロな服で身を包む。

そんな無口となっている少女をチラ見したが、彼は手渡された書類を受け取る。


 「分かりました。ボクの出来る範囲でやりましょう」

 「ええ、期待しているわ」

 「ところで……」

 

 ゴーストはそう口を開いて、視線だけでもう一度少女へと見る。

その視線の先に気付いたジェシカは、小さく笑みを浮かべながら言った。


 「あぁ、あの子の事は気にしなくて良いわよ。あの子はこれから、仕事に入る為の準備をする所よ」

 「仕事の準備……という事は、彼女もボクの同僚になるという事ですか?」

 「確かにそうなりますわ。あの子の面倒は後程、頼むかもしれませんね」

 「面倒な事を頼む予定を聞かされるのは、ボクの気分を下げる結果を生むかもしれませんよ」


 それを聞いた彼女は、ニヤッと口角を上げる。

確かに面倒事が後である、という事を知らされれば気分は下がる。

いや、下がりやすくなるという可能性はあるのだろう。


 「その心配は無いでしょう。貴方は依頼された仕事は遂行するのでしょ?」

 「依頼されて、給金を頂ければ……という前提ですが」

 「ならば問題はありませんわ。さて、例の場所にお土産を置いておきました。仕事の際、有効活用をして下さい」

 「分かりました。この仕事が終わり次第、彼女の話を聞かせて下さいますね?」

 「ええ、勿論ですわ」


 そう言葉を交わした彼女は、その部屋を後にする彼を見送る。

彼はその部屋から出て外へと出ると、貰った書類を仕舞って歩み出す。

その仕事の後、ゴーストは霧華の教育係としてジェシカから紹介されるのであった。


 「っ……」

 「踏み込みが遅い。ボクに一撃入れる事すら、その程度じゃ無理。やる気が無いなら帰ったら?」

 「……!!!」

 「おお、良い気迫だね。でもボクには通用しないかな」

 「んっ!?」

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