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人はそれを恋と呼ぶのかもしれない  作者: ふうせんくま
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人生いろいろ女難去って名案が閃くかもしれない

2.人生いろいろ女難去って名案が閃くかもしれない


side一哉


「ヤバイ女に結婚を迫られている。」

親友の山根は俺の話しを興味なさげに聞いていた。

「へー、お付き合いしてたら、そりゃその内、結婚もすんだろーよ。」

心底どうでも良さそうにビールを飲み、焼き鳥を食べている。

「付き合ってない。」

ようやく山根がこちらに顔を向けた。

「どういうことだ?あの2カ月前位から付き合ってた娘じゃなくて?」

「全く違う。しかも弥生やよいとは、その女のせいで別れた。」

やっと話に興味を示した山根に俺は事の顛末を説明した。

そのヤバイ女こと井上アミは、俺の会社の受付嬢をしていた。

美人で入社当時から男どもから大人気だった。同僚で友人でもある村田も井上を狙っていた。が、俺はまるで興味がなかった。

「そういや、お前さん職場で女は作らないんだったな。まあ、お前みたいな取っ替え引っ替えやってたら、面倒になるの目に見えてるもんな。」

取っ替え引っ替えしているつもりはないのだが、結果、そうなってしまっているだけだ。

その井上が村田を使って、俺に近付いてきた。

「お前さんにはよくあることじゃねーか。」

それはそうだが、問題はその後だ。帰宅途中に待ち伏せされるようになった。

彼女がいるから付き合えないと断れば、

『所詮、彼女じゃないですかぁ~。結婚相手じゃないなら、アミを優先して欲しいんですけどぉ~。』

「…はっ?」

山根はなんとも言いがたい表情になっている。

それから井上は俺と彼女のデートにも乱入してくるようになった。結果、俺は振られた訳だ。

職場の人間とは付き合わないことを伝えると、なんと仕事を辞めてしまった。

『これで障害はなくなりましたねぇ~。アミと結婚しましょう。』

「上原くん。怖いよ。なにそれ?ホラー?」

「ちなみに俺は連絡先の交換もしてない。ただの元職場の人ってだけの関係性だ。そんな相手に逆プロポーズとかしてくる神経が分からない。」

「よっぽど自分に自信があるのか、ただの電波かのどっちかじゃね。」

「電波は無理だ。」

ぶっちゃけ俺の地雷だ。未七海じゃない方の幼なじみがそれだ。未七海はただの天然だとか思っているようだが、そんな可愛らしいものじゃない。

「で、どうすんだ?」

「まあ、俺の被害は村田が証言してくれるって言うし、付きまといとか迷惑行為も元彼女が

立証してくれるって言ってくれたから。あと、井上と会った時は毎回ボイスレコーダーで会話録音してたから。弁護士の知り合いもいるし大丈夫だと思う。」

「用意周到過ぎて怖いわ。じゃあ、なんの相談だったんだ?」

「俺は気付いたんだ。俺に結婚願望があったって。」

山根は店員さんを呼んでビールを頼んでいた。俺もついでにビールとだし巻き玉子を頼んだ。

「お前さんは今回のことで結婚したいと思ったのか?」

「逆プロポーズされた時に、結婚するならお前じゃないって心の中で思った。」

「ほう。じゃあ誰なんだって話しだな。」

「はっきり言って、今まで付き合ってきた女で結婚したいと思った女はいない。」

結婚ってのは一生ものだと俺は思っている。彼女である期間に興味を持てなくなる相手では結婚なんて出来ない。

「昔っから面倒くさいよね、お前さんは。女好きなのに女嫌いだし。相当ひねくれてる。」

自分でも理解はしている。そして分かっている。このままでは結婚出来ないことも。

「上原くん?俺はさ、ずっと思ってたんだけどさ。」

「なんだよ。」

「浅倉さんと結婚すればいいじゃん。」

未七海と結婚?それはありなのか、なしなのか。もちろんありだ。未七海は赤ん坊の頃からの付き合いで、世間でいう幼なじみ。ずっと俺の特別だ。何より

、俺が未七海に飽きることなんてない。

「山根、お前は神か。」

「上原くんは馬鹿だな。」

そして、俺は今のままでは未七海と結婚できないことなど百も承知だったため、外堀を埋めていくことから始めようと決意していた。

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