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人はそれを恋と呼ぶのかもしれない  作者: ふうせんくま
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嫌なことが多すぎるけどそれもまた人生

1.嫌なことが多すぎるけどそれもまた人生


side未七海


私、浅倉未七海は疲れていた。

某ドラッグストアの数少ない正社員で副店長の立場にある。20代で副店長なんて、出世コースと思われるかもしれないが、そんなことは全くない。

もうすぐ28歳(まだ27歳)の未婚女性の立場はこういう正社員よりパートやアルバイトの多い現場では浮く。パートのほとんどは奥様でアルバイトは学生。

当然、嘗められている。

短大卒業して、社会人になり8年が経とうとしていた。

その日も、棚卸しという名の残業をしいられ、フラフラで帰宅した。

LINEとか着信とか、一切確認せずにベッドにダイブしていた。

目が覚めたのは玄関のチャイム音だった。

私は、もぞもぞと起き上がり、服を整えた。玄関の前にいき、ドアを開けずに、覗き穴から相手を確認する。

面倒くさいなぁと思ったけど、いちおドアを開けた。ドアチェーンはかけたままだけど。

「あのさ、オレ何回も連絡してんだけど?何で返事してくれないの?」

私の彼氏だ。3つ下で座敷犬系の顔をしているが、性格は待てのできない、躾が身に付いてない生き物だ。

「…ごめん。仕事終わって速攻寝ちゃった。」

「また仕事?ミナミンはオレと仕事どっちが大事なんだよ。」

そのセリフってさ、彼氏が彼女から言われたくないセリフランキングにはいってると思うよ。逆でももちろん嫌だけど。

「健ちゃんのことは大事だよ。でも仕事と比べてっていうのはそういう事じゃないんだよ。」

私の言葉に彼は俯いた顔を上げたと思うと、キレた。

「ーふざけんじゃねぇよ!オレが、お前みたいな年増と付き合ってやってるのに、何だよ、その態度は?!」

私はポカーンとしてしまった。付き合ってやってる?いやいや、告白して付き合って欲しいって言ってきたのそっちじゃん?

「だいたい、ドラッグストアの店員なんてしょうもない仕事じゃねーか!誰にだってできんだろうが。そんなのよりオレを優先しろよ!」

へー、ほー、ふーん。

「そうだね、誰でもできる仕事かもしれないね。でもさ、君だって契約社員だよね。それはさ、誰にでもできない仕事なわけ?でも私はそれで、しょうもないとか思ったことないけど。君の言葉ってブーメランになって返ってくると思わないのかな?しかも成人した大人が仕事を放り出して自分を優先しろですか。その結果、私はどうやって生活していくのよ?君が養ってくれるわけないよね。私からお金借りてる分際で。」

寝起きの私は相当機嫌が悪い自覚がある。それに、寝起きじゃなくても限界だったと思う。

「お、お金はくれたんじゃなかったの?」

「何で?私言ったよね、お給料が入ったら返してねって。」

「ムリ、ムリ。給料は自分の為に使いたいし。」

私は何でこんなのと付き合っていたのか。

「うん、分かった。お金は返さなくていいよ。」

私の言葉に彼はパッ顔を輝かせていた。

「そのかわり、別れましょう。」

「なっ、何でだよ!?なんで急にそんなこと言うんだ!」

「お金は手切れ金ってことで別れたいんだけど。拒否権ないよ?もうお金受け取ってるんだからね。」

私がドアを閉めた後もギャーギャー喚いていたが、警察に通報するぞと言ったら帰って行った。


そんな出来事を高校からの親友である相澤結菜あいざわゆうなに話していた。

結菜も独身であり、月1回はこうして集まってお酒を呑んでいる。

「未七海。あんたが、あんなのと付き合うって言った時、正気を疑ったわよ。まあ、あん時のあんたは側に居てくれれば誰でも良かったんでしょうけど。」

さすがは親友だ。私のことなどお見通しだ。

「あたしとしては、何であの時さ、上原くんに連絡しなかったのかが疑問。」

「一哉に依存するのはよくないかと思って。」

上原一哉は私にとって家族より近い存在だ。赤ちゃんの頃からの付き合いである。


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