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第12話 ドリュッヘル防衛線 防戦

 防衛線は酷い有様だった。数では勝っていたドリュッヘルの兵士達だが相手が悪かった。邪神の軍勢は1匹1匹が正真正銘の怪物、1匹倒せば英雄と讃えられるレベルだ。それがざっと見たところ50匹はいる。生き残ってる兵士の数は200そこそこだ。正直言って絶望的な力の差がある。


「俺一人入ったくらいで覆せるか分からんがやるしかないよな。」


 蛇の胴体に女の上半身のラミアの尾がムチのようにしなって俺に襲いかかる。俺は右に飛んで回避する。すかさず横から二つの頭を持つ犬畜生のオルトロスの爪が俺を切り裂かんと襲い来る。止まったら死ぬ。襲い来る爪を受け止めずに斜め前に動いてギリギリ回避する。


「あっちも­­────」


 鶏の体に蛇の尾のコカトリスの嘴が眉間を抉らんと振り下ろされる。俺は身を低くしてコカトリスの奴にあえて接近する。


「こっちも────」


 コカトリスの前でターンしつつコカトリスの横に抜ける。そして回転の勢いのままにコカトリスに片手剣の一撃を食らわせる。浅い。しかしコカトリスばかりに気を取られてるわけにもいかない。他の奴と遜色ない大きな狼、魔狼が飛びかかってくる。


「怪物だらけで────」


 地面を思いっきり蹴り飛ばして禍々しい爪をかいくぐる。そして魔狼の下から腹に剣を突き上げる。深々と突き刺さる確かな手応えがある。


「嫌になるな!」


 休む間もなくラミアが再び尾を振りかぶっている。俺は左手を魔狼の腹に添えてラミアに魔狼を投げ飛ばす。飛んでいった先で魔狼はラミアの尾によって弾き飛ばされる。まずは1匹。

 しかし喜びに浸ることも出来ない。オルトロスとコカトリスが同時に襲いかかってくる。バックステップで回避するもオルトロスの爪が頬をかする。

 防戦に回ったら不味い。そう思いながらも次々と襲い来る爪に嘴、更には後ろから別のオルトロスが襲いかかり避けるので精一杯になってしまう。

 せめてもの救いは巨体故に同時に襲いかかってくるのは3匹程度だってことくらいか。時に爪をかいくぐり、横に飛び、地を転がるようにして怪物共の死の一撃を回避していく。

 しかし完全には避けらずにかすり傷が増えていく。


「ハァハァ、獣くせえ。」


 襲い来るオルトロスの首を回避ざまに剣で切りつける。しかし浅く切り裂くばかりで致命打には至らない。切れ味が悪すぎる。悪態が口から出る間もなく爪が、尾が、嘴が俺に襲いかかってくる。


「やられてたまるか!」


 怪物共の攻撃は激しさを増していく。

 それらを回避している最中、足がずるりと滑る。不味い。そう思った時には俺の尻は地面に落ちる。こんなチャンスを見逃すはずもなくオルトロスがのしかかってくる。それを剣で受け止める。それが精一杯だった。次に襲い来るコカトリスの嘴に対処出来ない。ここまでなのか? そんな言葉が脳裏をよぎる。ひどくコカトリスの嘴がゆっくりなように見える。マイヤの底意地の悪いドSな顔が浮かぶ。次にファフィーの無邪気な笑顔。街まで追いかけられた事や街についてからのドタバタとした諸々、風呂での覗き騒動にコロシアムでの戦いが浮かんでは消える。走馬灯って奴か?どうせなら忘れてるとこも見せてくれればいいのに。そんな益体もない文句を頭の中で言う。


 ズバァァァ!


 コカトリスの頭を切り飛ばす小さな背中。それは俺の知るものだ。


「今の鳥さんはお兄ちゃんのお友達? 」


「そんな訳ないだろ。三歩歩いたら友情を忘れる鳥頭の友達なんていない!」


 俺はオルトロスの腹に足を当てて巴投げの要領で投げ飛ばして立ち上がる。


「ともあれ助かったよ。ありがとうなファフィー!」


 ここからは反撃の時間だ!

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