殺気の記憶
あたしは葛藤した末に、
真実を告げることにした。
私は案外純粋な人間なのかもしれない。
「蛇みたいな化け物が襲ってきて私の片足を喰いちぎりました。その後もう1度化け物が襲ってきて、殺される寸前に私は爆発しました。そしてこのとおり再生しました」
男は少し目を見開いたがそれ以上は何も動きを見せなかった。
「で、爆発の衝撃でできたのがそこのクレーター。そして血痕は嬢ちゃんの体が爆発した時についたんだな?」
「はい、そうです」
「その話、証拠はあんのか?」
「ありません」
男は顎をなでて何やら考える仕草を見せている。そして唐突に顔を上げた。
「嬢ちゃん」
「何でしょうか」
男は私の目を正面からしっかりと見つめ、
懐から黒い物をとりだした。
「それは……」
「銃だ」
そう言って私に銃口を向ける。
この男、まさか私を……。
そしてまたあの感覚が私にべったりとまとわりつく。
そう、殺気だ。
全身に小さな刺が突き刺さっている感覚。
少しでも動くと死んでしまいそうな感覚。
あの化け物に見つめられた時に初めて知った忘れようのない感覚。
一秒一秒が永遠のように長く感じられた。
目の前の一コマ一コマが鮮明に見える。
男は指を銃の引き金にかけ、ゆっくりとそれを引いていき__
ドン!
銃声。
目の前には鉛の玉。
やば、死ぬ。
そう思った矢先、
私の体がまたもや爆発した。