回答
幸いにも私の放った言葉は男には聞こえていなかったようだ。
「まぁ服がねえならこれ着とけや」
そう言って男が差し出したのは黒いコート。
全身をすっぽりおおえる仕様で、フードまでついている。
「あ、ありがとうございます」
私はそのコートをありがたく受け取り羽織った。だいぶ大きめのサイズだったので袖は余ってるは、裾は地面に引きずってるはで凄く動きにくい。
とはいえこのまま身体を晒しているわけにもいかないので文句は言わなかった。
「ところで嬢ちゃん。足が片方ないな。
拠点に戻ったら治してやる」
男がは唐突にそんな事を言い出した。
確かに私はさっき蛇の化け物に足を喰いちぎられたがもう痛みはない。それに治してもらえるならそれは助かる。
たが、足を治すだ?
そんな事、できるわけない。
自分の足でも差し出してくれるのだろうか。
私がそんな事を考えているあいだ、
男は私のたっていたクレーターの周りをグルグル回っていた。
「足を治してくれるってどういう事なんで
すか?」
私は男に質問する。
しかし男はそれには聞く耳を持たず、私に別の質問を投げかけてきた。
「おい、さっきここで何があったんだ。
このクレーターといいクレーターの中心からながれ出ている血痕といい。
何かあったに違いない。
そして嬢ちゃん。あんたはこのクレーターの中央にたってた。
何か知ってるんだろ?」
くっ。
言うべきか、真実を。
言うべきか、偽りを。
続く