遭遇
私は、全体重をクビにゆだねた。
その瞬間、
クビにものすごい圧力がかかり息がとまる。
「カッア゛ア゛!」
苦しい、喉が潰れそうだ。
息を吸おうとするが、服の輪が空気を肺にいれることをゆるさない。
だんだんと意識が朦朧としてきた。
ん?目の前に黒いのが見えた気がする。
でもまあいいや。
私はここで死ぬんだから。
この地獄のような世界から抜け出せるのだから。
しかし、世界はそんなに甘くはなかった。
突如、腰に痛みを感じた。
「いてっ!」
私の体は地面に落下していた。
首の輪ごと。
「は、ハハハ」
私は死ぬ事さえ許してもらえないらしい。
世界は私にどうしてして欲しいんだろう?
私は腰をナデナデ立ち上がった。
「おい、そこのお嬢ちゃん」
後ろからそんな声が聞こえた。
私はおそるおそる振り向く。
そこには年齢50ほどの背の高い男がたっていた。185くらいだろうか。髪の色は深い緑。
服装はこの時代ではほぼ見ない和服だった。
そして、異様なほどの貫禄があった。
「あなた、どなたですか?」
私は問う。
「嬢ちゃんこそ何もんだ?
こんな所で何してやがる」
私は少し迷ったすえに真実を告げることにした。嘘をついた途端あの男の眼力で見抜かれてしまいそうだったから。
「私は、第2回ru-puの搭乗者です。
ついさっき戻ってきました」
「……、本当か?」
「はい」
「なら、なんで今帰ってきた?
第2回ru-puはもう2年も前のことじゃねえ
か!」
私は言葉を失った。
2年も前!?
そんな馬鹿な!
でも、私は意識を失ってたんだ。
ありえない話じゃない。
いや、2年も眠ってたなら水も食べ物もとっていない。私は生きていれるはずがない。
いや、私はもう人じゃないんだ。
これも、ありえない話じゃない。
「混乱しているようだな。
ついてこい」
そう言って男は歩きだした。
と思いきや突如ふりむき、
「嬢ちゃん、服、どうしたんだ?」
なっ。そ、そういば私ロープ作るために服切ったんだった。
じ、じゃあ!あの男と話してるあいだ私の胸や下半身を守ってるのは……
下着だけ。
カァっと顔が熱くなった。
そして私は無意識にこういった。
「死ね、エロジジイ」
続く