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9.

快適で居心地のいい家ができて、一ヶ月くらい経っった頃だろう。

夜、青い月が真っ白い砂の地平線から登っていくのを見て、月がある事が解った。


この星の衛星ではないのか、それとも、毎日経路が違うのか不明だけれど

はじめてみる月は、ただただ美しかった。


青い月に照らされた世界は、幻想的で深みがあり、色というものの美しさに見ほれた。


それから、一週間ほど、月は空にありつづけた。


ゆっくりとした周期の衛星なようだ。

それは、こちらの星がゆっくりなのか、同じ速度で動いているのか

なんて、夜空を見ながら思考を巡らすのも楽しいものだった。


だが、私はそろそろここを旅経ちたくなっていた。

街はほぼ出来上がった。


六本の道のある広場。

そこに建物を作ってみたけれど、中央の広場が狭すぎて圧迫感を感じてしまい、言ってしまえば、失敗作となってしまった。


個々の家や雰囲気はいいのだけれども、どうにも満足ができず更地に戻したくなる心地になってくる。

なので、旅に出るのだ。

見ないでいることが精神的にいいことだし、色のついた世界があるに違いない。


そう思うと止まらなかった。


だけどもう一つだけ、この街には足りないものがある。



連立する家。家には小さな庭。街を示す入り口と、周囲を取り囲む柵。

箱庭のような街が出来たけど、ここに足りないのはこれ。


広場に戻り、広場の中央に直系十㎝程度の穴を穿つ。

細く長く掘り下げ、底には水があるイメージをしておく。

それを囲むように自宅の屋根の高さ程度まで土台を積み上げていく。

その上に、上に向いた風車を作る。

枠を角棒で組み立て、それに布団や屋根に使った砂布をつけたものだが、

風の強いこの場所だから、風を目一杯うけなくても、回り続けるだろう。

空を向いて咲く花のような風車は、水を自動でくみ上げる装置だ。


上下に動き続ける棒が、水面から水を汲み上げ、周りに零すだけの簡単な仕組みだ。


中にある程度ため込み、水の上澄みが零れるようにここも道の数と同じだけの配水口を設置した。


街のシンボルになるようなものだから、風車の花にちなんで排水口もラッパ型の花の形にし、土台は蔦が這うようなものとした。


砂漠という不毛な大地のオアシスであり、希望である場所。


もう一度、街を歩く。

こぢんまりとした家は、可愛いけれどどこか窮屈で退屈。

街と呼ぶにはおこがましい十八軒の集落。


それでも、私の最初に作った街だ。


街の入り口にノーフェルと記す。


太陽は、少しずつ姿を隠している。

さぁ急がなくてはならない。


はじめての家と同じかまくらを作り、中に布団を引く。

そうして私は潜り込む。白色の砂は枕程度の大きさの袋に詰めて運ぶ。

次の場所でまた使えるようにと願いながら。


床下と布団に潜り込み、私は目を瞑り眠る。


ありがとう、最初の街、そしてさようなら……

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

この作品は誰もが海岸や砂場でした遊びの延長なので、気に入らなければ潰してしまいたくなる気持ちもわからないでもない、なのでそのままにして旅立つ主人公でした。それでは、また次の場所で!


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