8.
結局、家の壁は、外から、せっせと砂を運び、熱さでふらふらになりながら、完成させた。
一度、無茶をした。
まだいける、と思い屋根裏や、外で休憩せず、続けて作業していたら、くらりと世界が回転し、倒れた。
幾度かうだるような熱さで目覚めても、うごけず、うーうーと独り唸り、後悔と懺悔を繰り返す。ふ、と夜に目覚めなければ復活することは出来なかっただろう。
その後は、一切無茶もせず、進捗具合の遅さに苛立ちも覚えたけれど、ゆっくりゆっくり壁の厚みを増やし、一部屋一部屋、涼しい場所を増やすことができ、完成にこぎ着けた。
まだ、地下室は作ってないし、内装も出来てない。
それでも、どうにか家と呼べるものが完成した。
そんな新しい家の充実した場所は、当然というべきか、屋根裏部屋だった。
屋根の板からアイデアを得て、布団を作った。
砂でできた板だが、ある程度の柔らかさがある。
袋状にし、中に砂を詰める。均等にならしながら、柔らかくなれと叩くと、座布団の固さくらいの敷き布団とぺらぺらの掛け布団ができた。
なかなか寝心地はいい、それはとても大事なポイント。
その布団で寝たら、疲労度の回復具合が早いのに気付いた。
屋根裏で休んだりはしてたけど昼寝はしたりしてなかったから、疲労度回復アップに気付いた時には、外壁はほぼ完成に近かった。
とても、ショックが大きかったのは、おわかりいただけると思う。
そんなことから、家などの大物を作成する、布団や道具などを作るなどで、少しずつ能力がアップするようだ。
不思議な世界というべきか、体質というべきか、結果論として、良いことが起こっているのだから、そんな些細なことは置いといて、次なる能力に期待したい。
といっても、指標となるものは何一つなく、~が出来るようになりました、なんて親切なアナウンスもないわけで、ただ、ただ私は、自分がしたいことを続ける。
次に着手したのは、地下室だ。
寝床を完全に屋根裏部屋にしたので、地下は、食料庫や倉庫をイメージしたものとなる。
だから、屋根裏と違い、階段を作らなければ、いけない。
重たいものを、はしごで上げ下げするなんて怖い事は、したくない。
階段を作れる場所は、一番広い奥しかない。
扉から右手側、部屋の半分くらいの位置から、作成することにした。
作成方法は実に簡単。
階段の幅の板を作成し、三つ折りにする。面と面の角度を九十度に形を整えて一段と半分の分型を作る、それに取ってを貼り付けて完成。
それを、地面に向かって、並行に、ぐいぐいと押しつけるだけだ。
高さを、半分だけの部分で計しながら、進んで行くだけだ。
階段のほうに、砂が零れてくるので、途中からは、取っ手付きの板でぐいぐいとブルドーザーのように砂を押しやり、止まった場所を壁とした。
なんどか失敗し、穴空きの屋根や、玄関部分に飛び出てしまったが、それも愛嬌だ。
穴部分は他の砂を用いて、壁の厚さを増して対策した。
玄関部分はそのままにしている。
なぜならば、採光場所となり、明るい。 地下でいても人が来たら解る仕様というのも面白い。これぞ、失敗は成功の母である。
樽の形をしたもの、木の箱、丸めておいた絨毯など、倉庫や食料庫にありそうなものも作っていく。空っぽの部屋にごちゃごちゃと置いていくと生活感が出てきた。
なんか、ほっとした。
ああ、ここで何かが生活している。
そんな雰囲気が出てきて、顔がにやける。
楽しくなってきた。
一階に上がり、部屋を見渡す。
一番奥の部屋は、キッチン&ダイニング。食器や調理用具、椅子やテーブルを作る。
狭いながらも、機能的でありながら暖かみのある場所になった。
そんな風に形だけではなく、中身を作っていく。
それは、私という存在を示す作品であったのは間違い無かった。
ストックの切れは早いものです。週末投稿になりそうですね。