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7.

目覚めは、やはり、熱かった。いつの間にか、被っていたロールは少しだけ役に立っていた。早く取り付けないと、太陽に灼かれて死んでしまいそうな心地になる。


まずは、木枠作りだ。

板をならべて、屋根の梁となるべく部分を作る。

細い頼りない十センチ角の棒ができた。

頼りなくても、厚さ二ミリもないような壁が問題ないのだから

きっと、強度的には問題はないはず。


家な長さ分作って、組み立ても行う、重さは感じないのだから屋根の貼り付けまでしようかとおもったが、一部貼り付けてしまうと、風に煽られるということが解った。


あの砂かまくらも転がったのだから、当然な話で結果である。


角棒ではしごも作る、接着剤は、砂唾と気力だ。


枠の片方をのせ、押せるところまで押す。

バランスが崩れたら、屋根の上にのせ、急いで、屋根に登り、設置場所に骨組みを置き固める。ずれもなくうまく設置できた。


一部貼り付けた屋根の場所は、玄関部分。

ここはこだわりポイントで、雨が降った時も安心できる、玄関を覆うように丸くせり出している。

壁と併せると、丸く円がかけるような感じのイメージだ。

まぁ、径が違うので、ちっとも円にはならないのだけれどね。


玄関の屋根に登り、周りを見渡す。

何もない、真っ白な砂漠だ。

お家も真っ白で少し色がほしい。


しかし、これはどんなに願っても、想像しても変化はなかった。

すごく残念である。


風に煽られて、落ちそうになり、慌てて屋根にしがみつく。

惚けている暇はなさそうだ。


太陽は、真上あたり。

まだ時間があるとおもっても、いつのまにかに暗くなっている世界なのだから、急ぐにこしたことはない。


片面ずつはりつけて、どうにか完成したころは、やっぱり夜だった

こっそり、軒先に隠れる場所に空気孔を空け眠りにつく。


少し、ましになってくれると良いんだけど……。




結果は、確実にましになっている。

一階で窓をあけていると、砂まみれは必須だ。

だけど、屋根裏部屋の小さな穴から入ってきた砂はほとんどない。


もしかすると入らないでーと願っていたから、どうにかなっているのかもしれないけど、どちらにせよ、砂まみれではないのは、嬉しいかぎりだ。


気分もよく作業開始だ。


今日は、外観に着手することにした。


まずは、玄関部分。

バームクーヘンの内側のようなアールを描くような見た目にしたい。


屋根の有効範囲を広くとり、かつ、包み込むような雰囲気にしたい。


細い角棒を、家の壁から等間隔に立て一部を塗りつぶす、玄関部分の厚みも作りカーブ具合もなかなか綺麗に出来た。

扉や、装飾もし、なかなか満足な出来映えとなった。


玄関と屋根だけみれば、完成図だ。

ただし、半透明な壁が外にせり出しているので、完成というのがはばかれる。

まぁ、完成はしてないのだから、この違和感は間違いはない。


ぐるり、と家の周りを歩く。

煉瓦風の道は歩きやすい、砂はさらりと流れ、障害物である家の前に溜まることもなく安心できた。


だが、無計画さが、露見した。

玄関部分は、余裕を持って作成したから、壁を外側から厚くする事ができたが、側面は道に沿って作成したため、厚みを持たせる余裕はない。


ふぅ、とため息が出た。


屋根のように押せば変形するかと思ったが、経過時間が長いせいか、変形も、砂を追加しても定着することはなく、新しい砂唾を使って作成しなくてはならない状態なのだ。


失敗したなぁと思う理由は、二つある。

外からできないならば、中から加工すれば良いこと、内装もなく、簡単な部屋分けをしただけだから、どうにでもなる。

なのに、後悔する理由の一つは、暑いこと。

屋根裏部分は、涼しくなったが、一階部分は、区分けしたこともあり、未だに熱が籠もる構造をしている。暑いと感じてしまう状況で作業を続けると、疲労度合いが強く、作業効率が下がる。窓などを作って対応したら、あっという間に砂まみれになる上、作業効率が悪くなる。

だが、もう一つの理由、砂を運ぶという手間だ。

床部分から取れば、玄関より低い床となってしまう。

一時的に、固めて、その下部分から取り出すとしても、非効率的だ。


砂の重さを感じることはなくとも、私が動き、作業するということで疲労度合いは変化する。時間はいくらでもあるはずだけれども、完成をせいてしまうのは、気持ち的な問題。


早く家がほしい。

まともな生活の拠点がほしい。

そんな気持ちが私を急かす。


そんな気持ちをあざ笑うかのように、太陽は沈み、星が輝きはじめる。


朝、おりる時に開けた穴を整え、はしごを設置する。

屋根裏部屋に入り、横になる。


急がば回れ、と小さく呟いて、目を閉じる。


まだまだ家は完成してくれません。がんばれ主人公。

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