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16.黒い砂

かまくらを出て、夜かと勘違いする真っ黒い砂。それが今回の砂漠の色であった。

悲しみを抱えて旅に出たせいなのかと嘲笑してしまいたくなる。


さらりとした手触りは悪くない。

それに、完全な黒に見えたが、よく見れば光沢がある。綺麗にならしてかためてみれば美しい艶を放っている。


それに、次の場所で濃い色の砂は役に立つだろう。袋に詰め込んでかまくらに投げいれてその軌跡を追いながら意識が沈む。


私という存在はいったいどんな風に見えたのだろうか。驚きより、恐怖を貼り付けた顔。騒然とする場。まるで見てはならない物を見てしまったようなそんな雰囲気だった。


さらにいうと、彼等はいつあの街に誕生したのだろうか

何もない、そう今この黒の砂の場所と同じように、まったく何も無い場所だったはずなのに、いつのまにやら誕生していた。

その上、いつも通りの生活をしているという雰囲気。作ったはずのないものが大量にあり、飲み食いする人々。楽器や歌声もあった。それに灯りもいたるところで灯っていたのではないか。


いったいどういうことなんだ。


今から、また同じように街をつくるとする。

私は、想像する。人々が暮らす街だと。

そうしたら、いつの日かわからいがそこにナニカが存在し、有りもしない歴史が繋がっていくのだろうか……。


くらり、と目眩がした。慌ててかまくらに入って座り込むが、砂漠の熱さにまいったいせいではない。

これはいったいなんだと、それに気付いた今に、頭がおかしくなりそうで目眩がしている。


不安な心の如くの目眩の中、ぐるりぐるりと渦をまく世界。

世界が回る中心部。風が集まり、人々の思いのせいで、真っ黒に染まった砂。


底がみえないほど深い穴。

その壁にいつしか思いをかためた秘宝が煌めく。一攫千金を狙い人々が集まる場所。


想像が固まった瞬間、突き上げられるように立ち上がり外に出た。

ざくりと、砂を掘る。水で壁を撫でる固まり重さに耐えられなくなった壁のいくつかはぼろりと剥がれていくが、掘り進めていく。時には階段をつくっり、溝をつくったりしながら進んで行く。かまくらに戻ることはなく、疲れを感じれば眠り、目覚めれば掘り進み、壁に塗り固める。幾夜もすぎただろう。だけどまだ終わらない、終われない。

気が向くまま進む。


それが、私という存在意義であると、私自身が心に刻んだ証であるのは間違いなかった。

お久しぶりです、短いですが書けてので投稿。

たぶん今年最期の投稿かな~よんでくれてありがとうございます。


来年はもう少しかけるといいな~

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