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現世鳥の三枚者  作者: ひんべぇ
第二章:双子の偶像大使!
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第十六話:インターミッション(9)

続きです、よろしくお願いいたします。

「――てな感じで……、何とか『迷宮探索』は終えたんだがな……」


「ほぁ……、お疲れ様なの……」


「――って言うか……、玲人先輩……、『A』倒しちゃったんです……?」


 ――寂れかけた『幻想商店街』の中にひっそりと建つ、二階建てのアパート『二鷹荘』……、今、その一室では、三人の兄妹達が、互いの苦労を労い合っている。


「ありゃ……、元の持ち主より強力だったな……、化けるぞ……ありゃ……」


 夕食が終わり、お茶を啜りながら、褐色肌のツリ目少年――『天鳥(たかとり)コラキ』は、傷の具合を確かめると同時に、親友である白光の丸坊主少年――『梧桐玲人ごとうれいじ』の事を思い出し、楽しそうに語る。


「ほぁ? この目で見るまでは信じられないのっ! ――私はそう易々と騙されるれでぃじゃないのっ!」


 ――一方、兄であるコラキの親友……玲人の、普段の姿を知っている白いふわふわショートボブの巨乳少女――『天鳥(たかとり)ペリ』は、全身で『玲人が活躍? した』と言う事実を否定する様にその髪と胸を揺らす。


「――え~……、じゃあ、下手したら……、玲人先輩も『A』入りです? ん~、ウチ的にも何とも言えない気分です……」


 そして、『天鳥(たかとり)三兄妹』の末――『天鳥(たかとり)イグル』は、床に伸ばした、長い自慢の足をパタパタと動かして、イヤイヤと言いたげに頭の茶色い尻尾を振り乱す。


「まあ……、そう言うなよ……、俺としちゃあ……、玲人が『A』に来りゃ……、一個隠し事が減るんだしよ……」


 コラキは苦笑しながら、ペリとイグルにそう言うと、指先で『午王宝印』をクルクルと回す。


「――あ、そう言えば、結局、その侵入者達は捕まえたです?」


 イグルは、足の親指同士をくっつけたり離したり……、忙しなくパタパタさせながら、居間の机に顔を突っ伏して、コラキに尋ねる。


 すると、コラキは「うっ」と、小さく呻き……、気まずそうに答え始める――。


「い、いやあ……そのダグって……男は捕まえたんだけどよぉ……、もう一人の……、分厚い眼鏡の奴には………………」


 どうやら、ダグを倒したは良いモノの……、もう一人については名前すら分からず逃げられてしまったとの事だった。


 勿論、ダグに関しては、『冒険者』としての資格はく奪の上――。


「――こうして、『スキル』も、得た『ジョブ』の『身体能力』も没収したから、このまま死ぬまで牢屋暮らしだろうけどな……」


 コラキはニヤリと、冷笑を浮かべながら『午王宝印』より少し小さめの、赤い玉と、青い玉を取り出し、机の上に転がす。


「あ、それは……、コラキ、また盗っちゃったです? ――ちゃんと管理しないと、また、玲人先輩みたいなのが、増えるですよ?」


 転がる玉を見て、イグルは「もぉ、もぉっ!」と唸りながら、その玉を手頃な袋の中に詰め込む。


 そして、コラキがイグルに「悪ぃ悪ぃ……」と、頭を下げていると、突如、ペリが声を上げる――。


「――あっ! ピィンと来たのっ! もしかして、コラキがボロボロで帰ってきたのって……」


 ――どうやら、ペリはコラキが『迷宮探索』を終えた日から一日経って、何故ボロボロだったのか、不思議だったらしく、ぼんやりとその事を考えていたらしい。


 そして、コラキに「私は知ってる」と言うドヤ顔を浮かべていたが、コラキは、「ああ……」と言うと、その理由を話し始める。


「多分、ペリの予想通り……、こっち帰って……、ひっこ達を『皇』さん家に送り届けた後………………美空さんが待ち伏せててなぁ……。――「不甲斐ないっ!」……って言って……」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ――時間は数時間前まで遡る。


「んじゃ、コラキちゃん、また明日…………は、お休みだから、明後日ねっ?」


『ゆっくり休んでくださいね?』


「おぅ! お前らもゆっくり休めよ?」


 雛子と、互いの頭を撫で回した後、コラキは雛子とこたつ(レイ)に別れを告げ、すぐ傍の角を曲がった……。


「――若いって……良いですよね? コ・ラ・キ♪」


「ヒッ……、み、美空さん……?」


 すると、そこにはパンツルックのレディスーツに身を包み、セミロングの髪をバレッタで折り返し纏めた小柄な女性――『薬屋美空くすりやみそら』が腕を組み、立っていた。


「聞きましたよ? ――一人……、逃したんですよね? ちょおっと……、不甲斐ないんじゃないかなぁ?」


「――えっ? い、いや……、直接、逃がしたのは……サッチーで……、俺はちゃんと……」


 コラキはジリジリと後ろに下がりながら、頭をフル回転させて、弁明の言葉を探索する――。しかし、美空は、ニィッコリと微笑むと……。


「男の子っ! 言い訳しないっ!」


 そう言って、『化粧道具』を振り回した――。


「――はいっ!」


 第二の母――『おかん』とも言うべき存在の美空に叱られたコラキは、ボロボロになりながら、条件反射でその場に正座する。――美空はそれを見て……、クスリと笑うと……。


「ごめんごめん……、ちょっと、言い過ぎましたね?」


 そう言いながら、コラキの手を引っ張り、「よく頑張ったね?」と言いながら立たせる。


「いやぁ……、分かってくれれば……。――後、『言い過ぎ』じゃなくて、『やり過ぎ』な気が……」


 そして、コラキは少し照れながら、呟いていたが、次の瞬間、その笑顔が固まる事になる……。


「――と言う訳で、今日はボクから、君達へのお土産を持ってきました」


 ――美空は、ポンッと、コラキに『旅行先のお土産』と、『一枚の契約書』を手渡す。


「え? と言う訳でって、何がッスか? ――お土産って……、行先一緒じゃ…………って……、え? 『巡回依頼』? ――なんスか……、コレ?」


「いやぁ……、今度、ウチ(ファルマ・コピオス)の総裁がさぁ……、『海上国家オーシ』の大使ちゃん達を連れてくるじゃないですか? ――直接の護衛自体は居るんだけど……、周辺警護の人員がちょっと、心許ないんですよねぇ~……」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「――と言う事で、来週来る『オーシ』の人達が来るんだが……、その時、周辺警護を担当する事になった……。勿論、ペリとイグル……、お前らも、出来れば同伴して欲しい……」


 コラキはそう言うと、美空から渡されたと言う『お土産』一式を机の上に並べ、「こっちにはサインを……」と、ペンを隣に置く。


「――うぅ……、お菓子は美味しいけど……、面倒臭そうなの……」


 ペリは早速、食べられる方のお土産に手を付けながら、コラキに「こっちはいらないの」と、食べられない方を突き返そうとする。


「いやいや……、当日は出店も来るみたいだし……、検閲だぁっつって、試食が……出来るかも知れなかったり、そうでも無かったり……」


「――っ! し、仕方ないの……」


 ペリはそう言うと、サラササラと、食べられない方に、自分の名前を書いていく。


 一方、イグルは、そんな姉を「信じられない」と言いたげに、その三白眼を大きく開き、見ていた。


 そして、そんなイグルにも、コラキは『お土産』一式を差し出す……。


「――大使の直接の護衛……、『Sランク』の一位、二位、三位、十四位……らしいぞ?」


「――ふぉっ? お、おやっさんに……、佐竹さんですっ? ふぉぁ……、グ、グレイな国です………………」


 イグルは、夢見心地と言った表情を浮かべ、口端から涎を垂らしながら、サラッサと自分の名前を書いていく……。


 そして、見事、適当な口車にノッテくれた妹達に深く感謝しながら、コラキはふと、思い出した様に口を開いた――。


「そうそう……、言い忘れてたけど、何か、その時ついでに、今回抜けた『(七位)』の補充用に、何人か、序列低位の『Aランク』とか、『Aランク』候補の試験やるらしいから、それとなく覚えておいてくれだってさ……」


「――それも面倒臭そうだけど……、分かったの……」


「んふ……、先輩らしく振る舞うですっ!」


 ――そして、僅かに気分が高揚している妹達に、コラキは最後の『連絡(爆弾)』を伝える(投下する)……。


「――後……、その依頼が終わった次の週……、学期末の進路相談だけど……」


「ふぉぉ……、忘れてたです……」


「んぅ……、今年も美空さん来てくれるの?」


「――ああ、美空さんから伝言も預かってる……「今年の進路相談、ボクと、君達の『お母様』とで、出席するよ?』……だってさ……?」


「「――っ!」」


 冬の『幻想商店街』に、『(ぼけ)』が迫りつつあった……。

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