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prologue
「化け物っ!」
今日も殴ってしまった。
相手は泣いていた。
相当痛かったのだろう。
私も拳が痛い。
ただ歩いていただけなのに、絡まれ、殴られた。
だからやり返した。
それだけ。
それだけのことだ。
なのにどうして、何で、化け物なんだ?
訳が分からない。
口元の血を拭い、空を見上げた。
私の心の中は無しか無い。
人を殴っても、泣かせても、怒らせても。
何も感じない。
罪悪感、後悔、怒り、哀しみ、喜び楽しみ。
何時、何処で出せば良いのか…。
ぐるぐる考えてはイライラして。
「…めんど」
面倒くさくなって、考えるのを止めた。
そして、また帰り道をフラフラと歩む。
【面倒なら、考えなければ良い】
そうだ、考えなければ楽だ。
寒い帰り道、思った。
五月雨結喜。
そこらに居る、普通の女子高生だ。
学校では面倒臭がり、適当で有名。
そんな彼女を巡った日常 ハチャメチャラブ?コメディ。