二人旅・二日目
何度かの試練――お手洗いのお手伝い――を乗り越え、ようやく慣れ始めた時のことだ。
まさかあっちの方まで手伝わされるとは思わなかったが、まぁ慣れてしまったのだから仕方がない。
大丈夫だったのだから、過ぎたこととして一時忘れるとしよう。……そして早く、ひとり立ちできるようにさせよう。
それはともかくとして、シロは食事も一人ではまともに食べることができなかった。
「……おまえ、今までどうやって生きてきたんだ?」
「ん……みんながいろいろやってくれた」
……つまり、食事も下の世話も、何不自由なくしてくれるだけの人員があったということだろう。
「……そうか」
なぜ、そんなボンボンなこの子が今更旅に……しかも、見も知らぬ従者を一人だけ連れての遠出にでなくてはいけないのか。
疑問に思ったが、軽く首を振ってそれを飛ばす。
初めから胡散臭い仕事だったのだ。だからこそ受けたのだし、余計な詮索は無用だろう。
「箱入り娘というか、もはや箱入り赤子だな。……ちょっと待ってろ」
そう軽口をたたくと近くの木の枝を折って適当な長さにカットし、持っていた拾得ナイフ即席のスプーンを作った。
みすぼらしいほど不恰好だが、スプーンとしての役割は果たせそうだ。
温め直したスープをスプーンに移して、息を吹きかけて冷ましてシロの口元に運ぶ。
「ん……こく、こく」
まるで雛鳥が親から餌をもらう時のしぐさだと、小さく笑う。
幸せな気分――というほどでもないが、自分の手の中にあるものを誰かに食べてもらえるというのは、存外に心地が良かった。
「……おいしい。……ありがと、おにいさん」
「どういたしまして」
感謝とか、そういう常識はあるんだよなぁと考えつつ、生活能力は皆無だけどと肩を落とす。
「スプーンも、これから常備しようか」
割れにくいお皿にお椀、ナイフやフォークといった食器に、鍋やお玉といった調理器具は持ってきていたが、スープは基本すすって飲むつもりだったのでスプーンは持ってきていなかった。
昨夜はビスケットを食べただけだから、特にこのような事態にはならなかったのだが……もしかしたら、ナイフやフォークも使えないかもしれない。
これからも覚悟を決めておく必要があるだろう。




