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過去編 4


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霜がでるほど寒い、ある冬の日。



毛布にくるまってぬくぬくしながら気持ち良く寝ていた私は、くるまっていた毛布をひっぺがされ、朝だとお母さんから叩き起こされた。


寒いと一言文句を言うと、黙って早く起きろと言われた私は、イライラしながら時計を見た。



[AM 04:50]



四時間しか寝てないじゃないか。

昨日の夜、いくら明日が試験だからと言って深夜12時まで起きているんじゃなかったと後悔しながらデジタル時計を一睨みし、ベッドを出た。



寒い、と呟きながら私はある1着の服へと手を伸ばした。



いわゆる受験服、ってやつに――





今日は中学受験当日。


私が受ける所は私立の中高一貫校。意外とレベルは高い・・・?らしい。

高校受験がないから楽だってことに最近意識し始めて、11月から今日まで本気で勉強し始めた、



ってのは言い訳で。



本当は、淕に失恋したから。



淕は


《武永 嘉穂》

っていう塾で同じクラスの子が好きなんだって事を聞いた。


あの時は本当にショックでおもいっきり泣いた。目が腫れて、学校を休んだりもした。



それ以来淕とは話してない。すれ違う時もあったけど、目を合わせないようにしていた。

最初は寂しくて、いつでも泣き出せる状態だった。

でも、ある時いつまでもくよくよしてるんじゃないと自分に言い聞かせ、気をまぎらわせるために受験勉強に集中した。

淕への気持ちをまぎらわせるために他の人を好きになる努力もした。


でも、その努力は無駄ではなかった。

結果がでたのだ。

受験に対する気持ちも本気になったし、淕以外の人を好きになった。


その人の名前は


《野田将臣》



優しくて、かっこよくて、スポーツできて・・・勉強が出来ないバカ。


だけど皆からは好かれるバカだった。



笑顔を見た時、笑い方が淕に似ていて、惹かれた。

こんな私でも笑いかけてくれて、


「お前、明るくなったなっ。」


って言ってくれた。

嬉しくて嬉しくて・・・しょうがなくて、惹かれた。



なんとなく、将臣といると淕のことが忘れられそうで、



私は将臣に逃げていた。





いつからか、淕と将臣を重ねて見ていたのかもしれない。

淕といるときと同じような笑顔を見せる私がいたから―――


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