表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

過去編 3


春期講習のクラスへと向かった私と美有は、途中で先生に引き止められた。



「佐藤さんと藤伊さん、はいこれ。」


「げ、テスト?」


「藤伊さん。あなた女の子なんだから綺麗な言葉を使いなさい。」


「無理です。」


「何でそんなにキッパリと・・・」


と、突っ込んだ私はツボにハマって大爆笑した。


ちなみに、《藤伊(トウイ)》というのは美有の苗字。

伊藤(イトウ)》じゃなくて《藤伊》なんだって、初めて会った時に笑ったら、思いっきり叩かれた。



「げ、私点数ヤベ。美有は?」


「・・・」


反応無しってことはヤバいんだなって確信した。


そんな私達は、席についた。


まだミク・・・じゃなくて、淕って言う人は来てなかった。

残念だったのか、それともこれで良かったのかといった複雑な心境にいた。


淕という人が来るまで、美有と話しながら期待して待っていた。

美有が他の子に呼ばれた。

ごめん、と一言残して美有を呼んだ子の元へと駆けていった。

美有、友達多いんだよな・・・・。


美有は誰にでも笑顔を見せる。

美有は誰にでも優しくする。


そんな美有の周りにはいつでも友達がたくさんいた。

それが私はとてもうらやましかった。

美有みたいに綺麗な笑顔を見せることができなかったから。

初対面の人なんて、笑顔どころじゃない。

顔が強ばって、にらんでる風に見えるらしい。

そう、周りの子に言われる。

こそこそ言ってるみたいだけど聞こえてるっつの。

別ににらんでるわけじゃない。

ただ人との付き合いが苦手なだけだ。



いつの間にかしかめっ面をしていた。

またやっちまった、と考えていると、美有じゃない隣から、ガタガタッと椅子を引く音が聞こえた。


まさかと思い、恐る恐る隣を見ると



予想通りだった。



そこには淕がいた。


相手も私のことを見ていたらしい。

目が合ってしまった。



「・・・ぁ、お前。どっかで会ったことある。」



・・・え?

まさか私・・・いや、私しかいないよな・・・・。

え、ちょ・・・こ、こういう時どうすればいいんだ!?



「・・・っぷ・・!!はっ・・・あははははっ!!!」


「ぁえっ!?」


「何その声っ!まじウケる!!はははがっ・・・!!ゲホッ、ゲホッ・・・」



「・・・っく・・・あははっ」


「っつ・・・・はははっ」







―――――――


そう。

これが淕との出会い。

初めて、初対面の人に心から笑えた。

美有は呆気にとられてたな・・・



でも




まさか、淕が私の生き方を変えてくれるとは思ってもいなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ