過去編 2
淕と初めて会ったのは、小学五年生の時。
塾の春期講習があって席が隣だった。
――――――
「席どこだろ・・・。」
正直、受験なんてどうでもいい。
どうせ母親からの薦めだし。自分の意思で決めた訳じゃないから、落ちても受かってもどっちでもいい。
席なんて友達近けりゃいいやって思いながら、席が貼り出してあるホワイトボードを気だるそうに見た。
あ、やった。
友達隣じゃん。
・・・ん?
「誰、隣のやつ。・・・しんじょう・・・・ミク?」
「違うでしょ。これ、りくって読むんじゃない?」
って笑われた。
良く見てみると確かに、りくって読む。
いやいや、そんなことより。
教えてくれたの、誰?
後ろを振り返ってみると友達の美有だった。
だよねーって、笑いながら教室へ向かった。
途中で美有が「あ、席見忘れた」って言いだした。
隣のことを教えたら、可笑しくなってまた笑いあった。
あの時の美有はとても良い子で、明るい子で、無口な方な私には憧れの的だった。
でもそんな美有とは春期講習が終わったら、突然にわなくなった。
元々は土曜クラスに通っていたけど、来ないから平日クラスに移ったと思ってた。
でも、現実って厳しいって、
その時初めて知った。
美有は小学五年生という若さで亡くなった。
春期講習の最後の日の帰り道、事故にあった。
すごく天気が良くて暖かい日だったんだって。
私は、それを聞いた時は声が出なかった。
泣くことさえ出来なかった。