great distance love
この物語はノンフィクションとなっております。
登場人物の名前は一部変えてありますが、お話自体は何1つ変えておりません。
では、どうぞお楽しみください。
『只今、アメリカ行きの便の準備が整いました。お乗りなられるお客様は、お早めに乗られるようにしてください。』
「あ・・・行かなきゃ。じゃあお母さん、お父さん、唯、行ってきます。」
「気をつけなさいね。何かあったらすぐに連絡しなさいよ」
「母さん・・・もう澪も中学生だぞ・・・?それくらい大丈夫だろう・・・・なぁ澪?」
「あはは・・・」
「みぃーおっ!アメリカ行ってもいじめられいように頑張るんだぞー?」
「ばーかっ!いじめられても100倍にしてやり返すよ!つかおばあちゃんからいじめられるってどんだけよ?」
「てへっ、そうだった。」
「なぁーにが、てへっ、だ。気持ち悪い。あ、あと唯。この携帯、預かっててくれる?」
「人に頼み事してて気持ち悪いとかいうなぁ!!・・・まぁいいけど?何でって・・・まさか、」
《淕さん?》
お母さん達にばれないよう口パクで『りく』という名前を出した、友達の唯に私はそうだよ、と笑った。
もう時間だと言っているのにしつこく大丈夫なのかと言ってくる母さん達と、私の少し傷ついた白色の携帯電話を預けた唯に行ってくると別れを告げ、笑顔で手を振りながら飛行機に向かった。
足元からはカラカラとキャリーバックが気持ち良い音をたてる。
これから私はアメリカに住むおばあちゃんの介護の手伝いの為にアメリカへと旅立つ。
正直行きたくなかった。
友達との別れも嫌だったが、一番は淕との別れだった。
途中で危険が無いかと持ち物検索が行われたが、勿論危険な物を何一つ持っていない為難なく通れた。
大きい荷物を預け、飛行中の暇潰しのための物が入った小さな鞄と共に私は飛行機の中へと乗り込んだ。
自分の席を確認するためチケットを見ると、運良く一番後ろの左の列の窓側。
夜の便だったせいか人がほとんどいなかったから楽々出来た。
暫く座って、窓から綺麗に光る空港を眺めていると出発のアナウンスが流れた。
アナウンスの中に安全の為にシートベルトを絞めろという案内が流れた。
それに従いシートベルトを締めると、飛行機が動きだした。
淕、私行ってくるね。
いつ帰れるか分からないけど絶対に戻ってくるから。
多分・・・いや、絶対に史上最大の遠距離恋愛になっちゃうけど、私はそれでも良いと思う。
好きだと言ってくれた、待ってると言ってくれた。
ただそれだけで私は十分だから。
待っててくれなくても構わない。
ただ
おかえり、と言ってくれればそれだけで良いんだ。
そんな気持ちを日本に残して、私はアメリカへと旅立った。