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異世界にログインできました

星野ハルキ、20歳。


彼の人生を一言で説明すると——


「集中力が常にログアウトしている男」


である。


講義中。


教授は黒板にびっしりと数式を書きながら熱弁している。


「ここで重要なのは——」


重要なのは、だ。


ハルキの脳内ではまったく別の会議が開催されていた。


(このペン、カチカチ音めっちゃ気持ちよくない?てかこれ武器にできるよな?“連打型短剣ペン”とか絶対強いだろ…いや待て、二刀流ペン…いや十刀流いけるな)


完全に異世界ビルドが始まっていた。


「おいハルキ」


「ん?ああ、今ボス戦中」


「現実に戻ってこい」


教授のチョークが飛んできた。


命中。


「痛っ!?なんでこの人スナイパー精度なんだよ!?」


——そんな日常である。


・集中できない

・じっとしていられない

・すぐ別のこと考える


診断名:ADHD


本人の感想:

「まあ…そうだろうな」


―――――


そしてその日も、特に何も変わらない帰り道。


「このままじゃ人生終わるよなぁ…」


と珍しく真面目なことを考えた、その瞬間。


(あ、あの人左右で靴の色違う。オシャレ?事故?どっちだ?)


思考、逸れる。


その“ついで”に視界に入った。


・子供

・ボール

・道路

・トラック(フルスピード)


「あ、これイベント発生してるやつだ」


普通の人間は考える。


ハルキは違う。


「うおおおおおおおおおお!!!!」


理由:なんか今動かなきゃダメな気がしたから


結果:

子供 → セーフ

ハルキ → アウト


(いやいやいや!?なんで俺だけダメージ確定なんだよ!?)


意識が飛ぶ直前、彼は思った。


(これ絶対チュートリアルじゃないやつだわ…)


―――――


次に目を覚ました時。


そこは森だった。


「……は?」


でかい木。

でかい自然。

でかい異世界感。


「いやいやいやいや、寝起きで異世界は説明不足だろ」


すると、頭の中に声が響いた。


『ようこそ、異世界ユグドラシルへ』


「誰!?ナレーション!?それともチュートリアル担当!?」


『私は創造主である』


「スケール急にデカいな!?」


創造主は落ち着いた声で続ける。


『お主は死んだ』


「はい終了ー!早い!人生RTAすぎる!」


『だが、お主の特性はこの世界では“最強”となる』


「え?」


『多動性は探求心に、不注意は自由な発想に、衝動性は決断力に——』


「いやいやいや、そんなポジティブ変換ある?」


『ある』


即答だった。


『さらに能力を授ける』


・無限の好奇心(気になったら全部わかる)

・予測不能な行動(意味不明な動きがなぜか当たる)

・過集中マスター(ハマると化け物)


「いや全部クセ強すぎだろ」


『要するに、お主はバグである』


「公式がバグ認定するな」


創造主は最後に言った。


『好きに暴れろ』


「雑すぎない?」


気づけば、声は消えていた。


森に一人。


静寂。


そして——


「よっしゃあああああああ!!!!」


ハルキは走り出した。


理由:なんか楽しそうだから。


彼の異世界人生は、


計画も準備も一切なく、


ただのノリで始まった。


——そしてそれが、最強だった。

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