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はじめに:蔓草の如く

今ははたして一体何時なのてあろうか。

そんなこと、私が知る由はない。

私ははたして今、一体何処にいるのであろうか。そんなこと、知るすべは此処にはない。

私は一体、誰なのであろうか。

大切であったであろう家族のことですら微塵も思い出すことはできない。なんとこれ残酷か。

頭の中の時針・分針・秒針、これら全て反時計回りへと巻き戻そうとも、要であるはずの部分が粉々に砕け散った駄菓子のように崩れ落ちてしまっているのか、リプレイされることはない。しかし、時は無情にもコクコクと進んてゆく。まさにそれ、ずるずると伸びてゆく蔓草の如く…。なんとこれ、気まぐれなことかと。

そんなことをあれやこれやと思考を巡らせ早体感20分。この不自然なほど殺風景で電灯や窓、ドアすらないこの寂寥感(せきりょうかん)漂う7畳半程の一室に、突如聞き覚えのない幼い少女めいた声がたんたんとこだました。


「ねぇ、おぢちゃん。」

「…。」

「おぢちゃん!!」

「…。」

「私に背を向けてるおぢちゃん!おぢちゃんってば!!」

「…くるットなっと。」

「はぁ〜、やっとこっち向いた。」

「ついに気でも触れちまったかなぁ…。どうやら統合失調症にでもなっちまったらしい…。第一こんな窓すらない部屋なんてあるわけないし…。」

「幻覚でも幻聴でもないわっ!!!

現実も現実、真よ真。大真よ!

なんなら頬でもつねってみる?ほら。」

「イテテテ!わかったわかった!やめなさい!もう。」


…どうやら夢でも幻でもないらしい。この感覚が単なる虚構の像なら、あまりにも出来すぎだよなぁ…。(感覚障害も患ってしまったとも言えなくはないが…。)一体なにが起こってるんだ…。それにしてもこの子。なんだか不思議な子だなぁ…と。紫?のような髪色。5・6歳の子にしてはなんだか大人びた服装だし。


「そんなことはいいのよさ、おぢちゃん。

一緒にね。お願いなんだけどね。このビデオ。見てくれない?」

「ヰ゛デオ?ああ、その馬鹿でかい再生テープのことか。いいけど、小映(テレビ)もないのに何処でみるんだい?。」

「なにゆってるのおぢちゃん。テレビなら目の前にあるじゃない。ほら。」

「えっ…?」


何が何なのか理解に悩み、ただ呆然と立ち止まっていた矢先、何処からともなくこれまた音がしたかと思いきや、小映、目の前に置かれていたことに気づいた。


「さっきはなにもなかったよなぁ…。」

「もう!そんなことはどうでもいいでしょ!

おぢちゃん。はやくはやく!」

「あっ、あぁ。」

「んっとねぇ、タイトルは"魔法の女神マリー"。あっ!そろそろ始まっちゃう!」



魔法の女神マリー 始まり 始まり

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