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魔女の口付け

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

自分の力だけを求めて口付けを求められたら、そんな風に思うのも無理は無いと思うんですよ。

「ほう。では拝見」

顎に指を添えて、顔を近付ける。それからはただ、その強い眼で真剣にまじまじと此方を見て、何かを考えている様だった。一度視線を逸らす。そうしてまた、同じ様に此方を見る。

「基盤が童顔なのか……。それに女顔の要素が、まぁ凡そ半ば程……」

そう意味深な呟きを一つ、二つ残して漸くこの体を解放してくれた。

「とても……綺麗だと思うよ……。でも……あの子に似せるなら、もっと良く分析した方が良い」


「何だ、戻してしまったのかい?」

「好みじゃ無いと口付けを許さないと言ったのは、お前だろう?」

女は俗に言う魔女と呼ばれる生き物だった。不可思議な術を使い、人を翻弄する、魔力源そのもの。故に皆、危険を承知で魔女の口付けを欲する。

俺はその、一般に使い魔と呼ばれる存在だ。術の練り方から、薬毒の使い方に至るまで、事細かな指導を受けている。けれどもより強い力を得る為には、生粋の魔女から定期的に口付けを交わし、魔力をその身に受け入れなくてはならない。

勿論、性悪を絵に描いたような生き物が、善意で口吸いなどするはずもなく、与えるには彼女の出した課題を熟さなくてはならなかった。

口吸いの条件は一つ。如何に上手く、彼女の描いた顔通りの顔に擬態出来るか、と言うもの。それくらい使い魔には造作もないと思われそうだが、これが意外と厳しい。少しでも違和感を覚えると、興が削がれた様な顔付きをして、のらりくらりとその場を去ってしまう。そう、さっきと同じ様に。

「モチベ上がらないだろう? 好意のない奴との口付けなんて。せめて顔だけでも良くないと、口吸いする気にもなりはしないよ」

ケラケラと笑いながら、魔道具にまたペンを走らせている。どうやら気が変わったせいで、また新しい顏を描こうと躍起になっているらしい。さっきの解析も済んでいないのに、新しいものに着手されては敵わないと、声を上げる。

「何が不満だったんだよ」

「私が描いた絵は綺麗さ全振り。あの顔に可愛さとか求めてない。けれども君が擬態した顔は、童顔を基本とした上に女顔を半数以上含んでる。なんというか、可愛いが過ぎるんだよね。もうす 少し、可愛さ捨てて、綺麗さに振れない? 前にも出来てたから、今回もイケると踏んだんだけど。まぁ、気が変わったし今の顔で良いよ。今が口付けがしたいのは、その顔だからね」

そう言って、顎に触れて思い切り唇を奪う。口腔から流し込まれる液体じゃない気体。故に口から漏れ出る事無く、口腔を通じて体に巡る。

「これからも励む様に」

役者さんしかり、レイヤーさんしかり、ハマり役ってあるじゃないですか。

ハマり役の方が他の役を演じるのは、やはり、とても難しい事なのではないかと思って出来た話。

それを埋める為には、やっぱり事細かに見ることが必要なのだと思わされます。


主人公、自分の事を『使い魔』なんて言ってますが、本当は弟子に近いものだと思います。

そして多分、この課題も、ささいな事でもよく見るようにという理念が多少なりとも含まれてそうですね。


でも

『魔力源だけ欲しい。お前に興味無い』

という心持ちでいたら、そりゃ

『じゃあ好みの顔になって出直して来いよ。好きでもない相手とキスするんだから、モチベ上げるためにそこまでしろよ』

と言われてもおかしくないなと思います。

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