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2 遠い国
波乃の葬儀は、滞りなく終わった。
何日か経ち。
波乃と付かず離れずだった俺は、初めて、幼馴染みのいない生活を知った。
家、通学路、学校、帰り道、銭湯、家……。
波乃と特に仲の良かった俺に、みんな気を遣っているのか。
誰も俺に話しかけようとしなかった。
あるいは話しかけて来ても、腫れ物に触るような、ただお互いの胸の内側を両者とも傷つけ合うような、そういう、いたたまれない会話が繰り返されるばかりであった。
当然俺は、人を避けるようになり。
以前にも増して、俺は孤独になっていった。
無理もない。
今まで俺の背中を照らしてくれていた明るい太陽は、隠れてしまったのだ。
波乃のいないこの町で、俺は、自分がどこか遠くの国に迷い込んでしまったようだった。